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2010.8.24 【剣】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《アントラクト》
ぎっ、ぎっ、ぎぃーっ!
小悪魔がぴょこんぴょこんと跳ね回る。
ただ遊んでいるのではない仲間を鼓舞するグレムリンのダンスが、闇に包まれた舞踏会で本当の踊りを見せる。
グレムリンには複雑なことはわからない。ただ戦いが終われば剣を奮い続ける様子の変なルヴニールが元に戻るのではないか。気になるのはそれだけだった。
小さな願いを込めた鼓舞に応えたのか、ヒルダが両手の剣を交差させて雄々しい叫びを上げる。
「こおおおぉぉぉっ!」
戦意を鼓舞するウォークライが響き、蝿の女王が歓喜の声を上げた。
「ほほほ! そうじゃ、踊り歌え! そうでなくては招いた甲斐がないというもの」
ベルゼバブの言葉は途中で遮られる。ぎぃん、ぎぃんと響く強化された剣戟はいかな女王であっても片手まではあしらえない。
無言で振り回される刀は疲れを知らず、それどころか加速するようにすら見える。
もっとも無傷ではない。大きな傷は上手く避けていたが、女王の持つ錫杖が放つ闇の刃に顔や腕が何箇所も切り裂かれている。ただでさえ体力の低い青年にとってあまり怪我を負うことが得策ではないことは本人も重々わかっているはずなのだが……。
怖いほど研ぎ澄まされている様子に、彼らは短期決戦を余儀なくされた。張り詰めた糸が切れる前に終わらせなければならない。
「援護いたしますわ!」
シャーマンの少女が相手を怯ませているうちに、黒翼の男性が前線から少し下がる。
瞬時に意識を集中させ、自らの剣を高らかに掲げた。何本もの黒き光の剣が天井へ舞い上がり一気に降下、何十体もの骸骨や悪魔を床の上に釘付ける。
「フィーギーナ。ルヴニールを」
「猿田彦とやら。そなたも縁があるのだ、行って来るとよい」
取り巻きの数が減った隙に暗殺者の少女と猿面の神が白の青年の援護へと向かう。
女王がいくらそれに気付こうとも勢いを増す刀を避け切ることが出来ずにいる。そして隙を、女王の逡巡に暗殺が専門である彼女が気付かないわけがない。
「……双・影・斬っ!」
青年の刀を受けきった直後のベルゼバブへ全力で一対の短剣を叩き付けた。
「ぐっ……やりおる!」
「ルヴニール、我が力受け取れい! そのまま消えよ蝿の女王!」
同時に距離を詰めていた猿田彦の赤の軍配がルヴニールの持つ刀へと向けられる。すると猿田彦の纏う気配、神の気とでも言うべき力が刀へと絡みついていく。
そして。
「レイジング……スラッシュ」
抑揚もなく呟かれた戦いが始まって初めての言葉と共に、蝿の女王の細い胴体は刀による二段の紅い剣風に薙ぎ払われた。
「ほ、ほほほ……強い強い。それでこそ断罪の天使を打ち破ったロードと言うもの……」
どす黒い血を吐きながらベルゼバブは嗤う。
楽しげに、嗤う。
しかし分かたれた身体は段々消えて塵と変わり、やがて完全に見えなくなった。
To be continued...