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2010.8.22 【縄】
Novel stage / Fun Fiction:ととモノ。
《盗賊の授業》
まずは周囲を確認する。床にさりげなく伸ばされているラインや紋様も注意しなければならない。危険は箱にだけ仕掛けられているわけではないのだ。
また、床だけとは限らない。壁や天井なども一応確認しておく。側の柱などオブジェクトがあればもちろん調べておき、位置関係も把握しておく。
終わったら箱の外側を調べる。動かすことで反応するものもある為、できるだけ手を触れずに全体を確認する。
伸ばした指先に細かな突起。これが飛び出ると何かが作動するかもしれないので、麻縄をかませて固定する。底なのでくさびではこの後の作業がやりにくくなる。
外周が終われば、いよいよ鍵開けだ。
鍵穴はシンプルな上に丸、下に方形を組み合わせた形。
ランタンの光を当てて内部の形状を確認。いくつかのピンが組み合わさっているシリンダータイプの錠に見える。
手持ちの先が曲がった針金、ピックから凹凸に合うよう数種類を選び出した。
慎重に鍵穴へと差し込み、回す。
かち、と金属同士がかみ合い動いた音。
ピックを引き抜いた後、改めて鍵の状態を確認する。きっちり鍵は回っているし、増えた突起や仕掛け物は見当たらない。
解除終了。
あとは箱を開けるだけだ。
何度経験しても、この罠を解除した直後は気分が高揚する。
良い気分のまま蓋に手をかける。蓋はゆっくりと箱の中身を露にしていき。
かちっ。
仕掛けの動く、音がする。
存在には気付かなくともたった小さな音への反応は早かった。外側の突起を押さえるのに使っていた縄を引っ掴むと腕を振るって箱を放り投げる。
壁にぶつかる直前、木の箱はぼんっ、と音を立てて黒い煙へと姿を変えていた。
「失格だ。ラッセン」
声をかけたのはにぃ、と笑う、褐色の肌に金髪を二つお団子にしたクラッズの女性。緑の瞳は楽しそうなものを見る目をしていた。
「罠っていうのは鍵開ける前だけじゃないんだぜ。補習では気をつけろよ」
鍵開けをしていたディアボロスの少年は言い返す言葉もなく、肩をすくめて次の生徒へ場所を譲った。
もっとも、実際の探索においては。
「宝箱があったよ!」
「じゃあ、俺が鍵を」
「アンロック」
超能力によって仕組みも何もなくあっさり解かれてしまう、悲しい現実が立ちはだかっているのであった。
Fine.