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2010.8.16 【灰】
Novel stage / Fun Fiction:聖剣伝説 LoM
《虚ろなガラス》
ドミナの街、アマンダ&パロット亭。
物静かな少女がアルバイトをする酒場では、コップを両手で持つなよなかな少女がゆっくりあしをぶらつかせて座っていた。
真珠が編み込まれた金色のくるくる巻いた髪に裾が赤い青のドレス姿は、ほわほわとした彼女の雰囲気とあいまって非常に酒場には不釣合いだ。
だが、少女はまったく気にせずむしろ楽しげですらあった。
視線の先には酒場の入口。
彼女はここ数日ずっと待っていたのだ。もうすぐ、もうすぐ大好きな……。
「真珠」
「お待たせしました、真珠姫」
「るりくん! エリクおにいさま! おかえりなさい!」
外から入ってきた二人の青年を少女は椅子から飛び降りて迎えた。
一人は近寄りがたい雰囲気を持つ砂漠の旅人のような格好の青年。手には長剣を携え、眼光は鋭い。
もう一人は普通の旅人の格好に木製の杖を持った優しげに微笑む青年だった。
少女は躊躇なく長剣を持つ青年の方へと駆け寄り、青年もまた少女を見ると張り詰めた雰囲気を少し和らげる。
「けがはない?」
「ああ」
「おにいさまも?」
「はい。瑠璃さんのおかげで」
青年が応えたところで、瑠璃が真珠姫の手を取った。
「じゃあな」
唐突ともいえる別れの言葉に少女は戸惑うが、言われた当人は微笑を崩さずに頷いた。
「ありがとうございました。お気をつけて、瑠璃さん、真珠姫」
「え、ええ、またおあいしましょう、おにいさま……」
振り返ることもない二人が酒場の外に出るまで見送った青年を、物静かな少女がじっと見ていた。
「るりくん、いいの?」
街の外へ出た途端、真珠姫が瑠璃へ問いかけた。
「……ああ」
彼は同行していた青年のことを思い返す。
微笑みのままに戦う精霊の歌の歌い手。腕力は決して強くないが一通りの武器は全て使いこなし、身のこなしと魔法の力は遙かに瑠璃をしのぐ。戦士としては学ぶところが非常に多い相手だ。
だが見ていると段々違和感を覚えてくる。
崩れない表情と淀まない動き。灰色の瞳に映る光景は何の光も浮かばない。さながら当人の使うゴーレムのように人間味を感じさせないのだ。
時折同行するくらいならば問題ないが、近付きすぎるのは危険。
直感が青年へ告げていた。
「いくぞ」
「うん……」
何も説明しないが、態度で理由を拒絶している青年。腑に落ちないまま真珠姫は瑠璃の後を追いかけた。
Fine.