365 letters 2010.8.13 忍者ブログ
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2010.8.13   【嘘】

Novel stage / Fun Fiction:ととモノ。

《彼女の思い》


 


 

 授業が全て終わって放課後。
「今日は確か迷宮には行かないんだよな。暇だし、ちょっと手合わせしないか?」
「ああ」
 寮に戻ったり、迷宮へと潜ったりするクラスメイト達の間を抜けて、ザクスとラッセンは教室を出た。
 廊下を渡り、普段訓練へに使う外に向かう途中。
「そんなことないって!」
 聞き覚えのある声が、通りすがりの教室の中から聞こえる。
「何叫んでんだ、あいつ」
 ラッセンが呆れたように呟いて、開かれた扉から二人はそっと中を覗いた。

 窓際の席で帰り支度をしている三人の生徒。
 穏やかな笑みを浮かべるセレスティアの少女と闊達なエルフの少女。そして、大きな声を上げたクラッズの少女。
 三人とも顔見知り、いや、仲間だ。クラッズの少女と他二人はクラスが違うので、遊びにでも誘いに来たのだろうか。
「ユノさん、声が」
「ご、ごめん」
 セレスティアの少女に窘められて、ユノが慌てて声量を下げる。
「で、でも、あたし、諦めないもん」
 いくら離れていても集中すればなんとか声は聞き取れた。
 ザクスとラッセンが聞き耳を立ててるとも知らず、エルフの少女はクラッズの少女へ話を続ける。
「ユノは本当に健気だよね。いい奥さんになると思うよ、本当。あいつでいいの?」
「リデル、あたしは……あいつで、じゃなくて、ザクスが、いいの」
 いくら自由奔放なユノでも、流石に顔を真っ赤にして語尾は消え入りそうだ。
「ユノ」
「確かに気付いてもらえないのは寂しいし、他の人なら気付いてくれるかもしれない。もっと優しくしてくれるかもしれない」
 ぎゅっと膝の上で手を握る少女は、リデルを見上げて更に言葉を繋ぐ。
「でもあたし、自分に嘘はつきたくない。後悔するなら自分のやりたいことやってから、泣いて後悔する。それでいいの」
 泣きそうな顔になりながら真剣に言う少女に、話しかけていた二人が顔を見合わせる。
「ユノさん……」
「ユノ、ごめん。そこまで思いつめてるとは思わなかったの……」
 セレスティアの少女がそっとユノの肩に手を置き、リデルは慌てて謝りだす。
 すると、返ってクラッズの少女の方が落ち着いたのかにぱっと笑顔を浮かべる。
「う、ううん! あたしこそ、なんか変な空気になっちゃった。ごめんね!」

「……愛されてんなぁ、お前」
「……?」
 不思議そうに首を傾げたザクスに、このときばかりはユノへ同情したラッセンが一つ大きな溜息をついた。


 Fine.


 

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