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2010.7.9 【踊】
Novel stage / Fun Fiction:Fire Emblem 聖戦の系譜
《風に靡く》
しなやかな指先が空中に弧を描いた。
腕に結ばれた半透明の長いリボンが後を追うようにふわりと風に乗ってたなびき、妖艶に微笑む少女の顔を、露になっているすらりとした肢体を、きわどいところで遮った。
しゅ……っと細い脚が連続して空を裂くと、短い緑の髪がふわふわと踊る。
くるくると軽やかに舞う姿はただの草原を華やかな舞台へと変えた。
大きく跳躍した姿がとん、と体重を感じさせない動作で大地に降りると、待ち構えていたようなぱちぱちと拍手の音。
「えへへ。どうかな」
舞い終わった少女がぺこりと一礼する。その面には艶かしい微笑みは残っておらず、歳相応のどこか幼さを残した笑みが浮かんでいた。
「すごいです……すごい綺麗で、身軽で」
その舞台を見ていたのはたった一人の少女。淡い紫色の髪を二つに分けて何箇所か赤いシュシュでとめた、踊り手と同じくらいの年頃の女の子。
「そんなに誉められると嬉しいな。それで、ティニーちゃんも踊りを覚えたいの?」
まだ上気した表情のティニーへ、リーンは尋ねる。
「はい。もちろんリーンさんの用に戦いでは使えないかもしれませんが、踊れるようになりたいんです」
懸命に頼み込む少女。
その脳裏にはある少年の影が一瞬だけよぎって、消える。
「ふーん……」
じーっと見返されるのに俯いてしまったティニーは気付かない。リーンが明らかに何もかもわかっていると言わんばかりのにやにやした表情をしていることに。
「じゃあ、無理しない程度にがんばろ!」
そんな表情を一瞬で消した踊り子は、座ったままの少女の手を引っ張る。
「は、はい! よろしくお願いします」
つられて立ったティニーは笑顔でその言葉に答えた。
(いつか……あの人と、踊りたい……)
Fine.