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2010.7.23 【革】
Novel Stage / Fun Fiction:聖剣伝説LοM
《旅人》
ふわり、とワニ革をなめしたマントが翻る。
金色の長い髪がマントより一瞬早く膨らんで、その上に落ちた。
湖畔を駆け抜ける足は細くはあるが、しなやかな。そう、走ることに慣れた者の適度な筋肉と柔らかな肉がついた足だ。
しっかりと大地を踏みしめ、湖に張り出した突端で止まる。
「んー。今日もいい気持ちー」
思いっきり伸びをするのは年のころ十代半ばの少女だった。
「いいこと、あるといいなっ」
歳相応の弾んだ声と共に彼女はまた走り始めた。
時折蹴り上げられる紫色の膝くらいまでのワンピースは、動きを邪魔しないよう、先の尖った花弁のように開いている。
弾むように大地を蹴る少女は動物達を追い抜き、茂みを飛び越え、野生児のように駆けて行く。
ただし、ただの野生児ではなかった。
彼女の邪魔をするもの。それは時に入り組んだ木々の間の枝であり、時には動物、魔物であったりもする。
けれど、結果としてその全てが邪魔となることはなかった。
彼女の手に握られた長柄の槍。それは隕石から削りだされた槍、スターゲイザー。
どちらかというと小柄な少女には少々長すぎる槍だが、そんなハンデを一切悟らせることなくその槍は障害物を全て薙ぎ払っていった。
非常に洗練された動き。
そんな相反する姿を見せる少女は泉を一回りし、ぴっと湖畔へ続く街道との境目のところに立つとはっきり宣言した。
「お散歩おーわりっ。さて、次の街はどこかなー」
そう、彼女はまさに、台風のような旅人。
Fine.