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2010.6.22 【手】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《閑話休題:そっと触れて》
小悪魔の手はにくきゅうみたいにふよふよと柔らかい。
それが気持ちよくて握手するようにきゅっきゅっと握っていると、きぃきぃ嬉しそうな声を上げる。
もうすっかり懐いてしまったグレムリンは、ぬいぐるみのように遊んでやるととても慶んでもっと遊びたがる。会った時、周りの小悪魔と大して大きさの差はなかったが、実は子供だったりするのかもしれない。
フィーギーナの手は掌が小さく、指が細い。全体的に小さいという印象を与える。
「ルヴニール、どうかなさいましたか」
「握手ー」
質問に答えると暗殺者の少女は首を傾げながら、それでも何も言わずに付き合ってくれた。普通に握手をすると、掌にもあまり肉がなく硬く感じる。
「フィーちゃん、もうちょっと食べてもいいと思うよー」
「身体が重くなると動きが鈍りますから」
少女は真顔で却下した。
オークオラクルの手は硬く、節くれだっている。
年齢のせいもあるが、オーク族という種族がそもそも皮膚がごつごつと硬いのだ。
「ほっほっほ。どうかしたかの?」
「なんというか、個人的な興味ー?」
それでも手の甲に比べれば掌の方が柔らかい。また、普段六角棒を持っている手の掌の方が若干固い感触があった。
「主は相変わらず捉えどころのない男じゃ」
「えー。すっごくわかりやすいと思うんだけどー」
老司祭は苦笑して見送った。
シャーマンの手は小さいが、適度に肉がついていてしっとりとした感触がある。
「あら、ルヴニール。また不思議なことを考えていますの?」
「うーん。疑問に思ったって意味では正解かもー」
戦い手ではあるが、雷を扱う術士である巫女は掌が硬くなっていることはない。薬や香を調合する必要があるせいか、指先は非常に器用そうだ。
「それで、次はどなたですの?」
「多分一番の難関ー」
「まあ。是非とも頑張ってくださいな」
巫女の少女はころころと笑い出した。
バーサーカーの手は普通の男性くらい手が大きい。
「……それで、お前は何をやっているんだ?」
「興味があったから自分で調査してるー」
一対の長刀を扱う掌は硬い。おそらく皮膚組織が硬いだけでなく、筋肉質であるせいもあるのだろう。
「そうか」
「うんー」
「とりあえず」
離せ、の一言と同時に拳が飛ぶ。
狂戦士の女性は思いっきり殴り飛ばした。
「あいたたたぁ……」
こぶが出来ていそうな痛みが走る青年へ近付く黒い影。
気配はきっちり消されているにもかかわらず、青年の紅い瞳はあっさりと上がって歩いてくるその影へと向けられる。
「やあ、カイム」
にぱっと笑うルヴニール。ついさっきまで頭を押さえてのた打ち回ってた人物とは思えない変わり身に、黒翼の男性はじっと視線を向けている。
「何か用かなー?」
言いながら、青年は手を伸ばして掌を男子へ差し出す。立たせて、ということらしい。
カイムは視線を向けられた掌と青年のにこにこ笑顔を交互に見た。
『……自分で立てるだろう』
「一石二鳥だからー」
ん、と更に強く突き出され、渋々男性はその手を取った。
カイムの手は大きく、グローブ越しでもわかるくらい硬くがっしりとしていた。ただ角が多いというわけではなく、指も長いが力強さを内包している。
「ありがとー」
笑顔で一度ぎゅっと青年は両手でカイムの手を握って、離す。
『目的は達成されたのか?』
「うんー」
にこにこ笑顔がはっきりと応える。
「みーんな違った。でもきっと、それが当然なんだよねー」
十人十色。皆違って皆いい。
そんな言葉を改めて認識した人間のロードだった。
Fine.