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2010.5.20 【蛇】
Novel stage / Fun Fiction:ととモノ。
《抜け道》
少年達の足下を何人もの視線が横切る。
「いたか?」
「ううん、いない。あっちかな」
パルタクス学園の制服を着た少年少女達が周囲を探しては去っていく。何度も通っていくが、誰も少年達を発見できない。
フェルパーの少年とクラッズの少女の姿が見えなくなったところで、ヒューマンの少年がふぅ、と一息ついた。
「おっけー。ばれなかったね」
「……よく知ってるな。こんなところ」
常葉樹の深い葉の中に隠れたアランと更にその影に隠れる形になっているユーシェル。
クラス単位で急に始まった隠れ鬼。最初に見つかった者は担任の先生のお仕置きが待っていることもあって、皆遊びとはいえかなり真剣だ。
「そりゃあさぼるの……あーいや、蛇の道は蛇って事でー」
危うく素直に言いかけた人間の少年は途中で苦笑しながら止めた。しかし、しっかりと先を読んでいた妖精の少年は溜息を一つ。
「よく、わかった」
近くに誰もいないとはいえ、声を潜めながら周囲をうかがう。意外に物や建物の影、茂みの中などは探すが上はノーマークであることが多い。
それを狙ってのアランの考えだった。もっとも、二人で隠れることになったのはただの成り行きであったが。何しろここに登る所を見られてしまったのだ。
枝の上は大して広くはないが、身体の小さい妖精族が一人増えても問題はなかった。
「ま、まあ、多分ここなら見つからないよー」
とりなすようにヒューマンの少年は幹へ身体を預けながらのんびりと言う。
「それは認める」
その少し上の枝に座るフェアリーの少年はまだ警戒を解いていない。だが、次のアランの一言で気配が緩んだ。
「……いつまでここにいればいいかもわからないけどー」
「……最初の一人が見つかるまで、だろうな」
「けっこぉ、辛いかもー」
んーっと伸びる少年。涙の浮かぶ瞳は、ふと、別の仲間を捕らえた。
上手く物陰に隠れたディアボロスの少年。
「あ、ラッセンだ」
「何か持ってる……召喚札、かな」
ユーシェルも今いる位置から覗き込む。見られているとも知らない悪魔の少年は一枚のカードを取り出す。
唇が何事か呟くと、札が光り始めた。
「学園自体から逃げるつもりらしいな」
「あー。それもいい手だねー」
ぽん、と手を叩くアラン。しかし、ユーシェルはじっと学園の空を眺めた後、首を横に振った。
「……いや」
「ん?」
不思議そうな声を上げたアランの目の前で。
「ぐえええぇぇっ!」
ラッセンは突然生じた雷で黒コゲになった。
「……えーっと」
「防止用の魔術がはられている。今、飛竜を呼ぶのは不可能だよ」
もはや視線を別の場所に向けた妖精の少年は足をぶらぶらとさせている。
「そうみたいだねー」
アランも諦めて幹に持たれかかって、時間の経過を待った。
「……一人ぐらい見つかりなさいよ!」
結果的に誰も見つけられなかったユーノにより全員へ雷が落ちたことはまた別の話。
Fine.