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2010.5.16 【騎】
Novel stage / original:Absoetia
《騎士学校》
アブソエティア国、王城。
今日も普段と変わらずキルシェと共に王子の警護につくラートだったが、一つだけ違う点があった。
「(む、難しい……)」
講義の傍らに控える騎士の中に一人、年若い少年が混ざっていた。ラートの後輩、幼年学校の騎士見習いだ。
周囲に気を配らなければいけないはずなのだが、つい耳に入る言葉の羅列に眠気を催している。
騎士の青年はさりげなく眠る前に少年の注意を引こうとした。しかし彼は気付かない。
今朝はひどく緊張していた為、気が抜けたというのもあるのだろう。
けれど、このタイミングではあまりよくなかった。
「……さて、アロイス。貴方の知力も見せてもらいましょうか」
騎士と同じくらい注意力のある守り役の青年がその様子に気付かないわけがないのだ。
「え、は、はい!?」
にこやかに指名するキルシェへ慌てて直立不動の姿勢を取る騎士見習い。王子も何も気付かずにその意見へ賛同する。
「珍しいね。でも面白そうだ」
「こ、光栄です」
使える主にまで声をかけられ、少年は緊張のあまりがちがちになっている。
理師の青年は少年が数歩進み出るのを待つと。
「では早速続きと参りましょうか」
笑みを崩さぬまま、矢継ぎ早に質問を繰り出した。ずべて幼年学校で習う内容ではあるのだが、かなり難しい、というより細かい部分だ。
習ったばかりの王子でもぎりぎり覚えていられるかどうか。
無論、そんな問題を緊張で固まった少年が答えられるわけがない。しどろもどろの状態で厳しい追及を受ける。
「え、ええと、あの……」
それは講義が終了するまで続けられた。
「意地が悪いな」
「警護中に寝かけているほうが悪いのです。これで少しは懲りたでしょう」
「……親衛騎士にだけはなりたくないと考えたかもな」
「この程度で参るくらいなら、最初からやらないほうが幸せですよ」
Fine.