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2010.4.23 【痛】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《六花の海》
バジャの迷宮を抜けて、魔界王国ルクサリアの高原。
そこは、一面の白が視界を覆いつくしていた。
あまりにも急激な氷と雪の世界。
吹きつける吹雪は容赦なく彼らの体力を奪っていく。
「……さむいぃぃぃ……」
『……お前が真っ先に根をあげるな』
もちろん先行偵察でわかっていた為、迷宮にあった使えそうな服を各々着ている。良い武器があっただけではなく、特殊繊維を用いた服飾も残されていた。
それでも震え上がっているのがルヴニールだった。
「お前より薄着のシャーマンやフィーが平気な顔してるのに。まったく」
ヒルダが呟く。
名指しされた二人は平然と先頭を切って歩いている。シャーマンもフィーギーナも重い装備を嫌って薄手のコートのみを纏っていた。
「私は修行で慣れておりますわ」
「……訓練していますから」
彼女達はそう言ってあっさりと雪原を進んでいた。
どうしても震える青年や司祭に合わせていると進行速度が落ちてしまう。しかし、それでは抜け切る前に彼らが凍り付いてしまいそうなので、少し先行する形を取っている。
「でも、さむいものは、さむいぃ……」
魔法によって強化された繊維を織りこんだ軽いチェインメイルとコートを纏っている青年はしっかりと両腕で小悪魔を抱え込む。
「それに、なんか、いたい」
「風が強いからの。雪でも相当痛いじゃろう」
しっかりとフード付きの外套を羽織る司祭が彼に応じ、前を見やる。
「ふむ。あれは村かの?」
白い風景の中に、青い壁がいくつも見え始めていた。
オークオラクルが行った通り、青い壁は村。
いや、村、だった。
家も、人も、柵も、動物も、全てが凍り付いていたのだ。
一部の人間は何も知らないまま襲われたらしい。だが、残りの村人や動物達は恐怖に脅えた顔で逃げ惑うままが氷となっていた。
「全てが氷になっていますわ。酷い……」
『しかしいくら小さな村とはいえ、一気にここまで出来るか』
「よほど、強力な存在がいたのだろうな」
村のどの部分を見ても、それは大地を凍らせる巨大な存在を示唆している。
「……使い魔……多分、シヴィラダにいるっていうロードの使い魔、かな」
唐突にルヴニールが呟いた。一番近くにいた司祭が反応する。
「ほぅ。わかるかの?」
「なんとなく……最初に共鳴した時と似たような響きがしたよーな気がする……」
誰かに話しかけるというより、本当に唇から漏れただけという物だった。
(それに……なんか、痛いんだよなぁ……やっぱり)
To be continued...