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2010.4.26 【望】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《望月の魂》
吹雪に晒された肉体は通常よりも体力の消耗が激しい。
そのため少しでも風を遮ることの出来る場所で休憩することを決め、比較的大きな家へ入り込んで休むことになった。
この家に住んでいると思われる人々も凍り付いている。恐らく村を襲った元凶には何の障害にはならないのだろう。しかし吹きつける冷気からは守ってくれる。
いつものように見張りを決め、ルヴニールはグレムリンを抱えて眠りについた。
暗い、暗い、闇。
「こうして会うのも久しぶりな気がするわ」
目の前には赤い瞳の白い翼をもつ天使。もう涙を流すことなく、優しい微笑を浮かべていた。
「そういえばそうだったけ。なかなか来なくてごめんね、パワーズちゃん」
ルヴニールはまったく変わらずにこにこと笑って返す。
「貴方が見るべき世界はここではないもの。正しいことでしょう」
「でも……一人は寂しいよね?」
「そうかも、しれない」
青年の問を天使はあいまいに肯定した。そして、続く言葉を遮って彼女は口を開く。
「気をつけて」
「え?」
「ここにいるのは恐怖を与えたものだけではないわ」
びっくりしたロードへ断罪の天使は警告を繋げる。
「恐怖を与えるもの、恐怖を与えられたもの。どちらもこの地にいる。貴方の紅い瞳を侵食できるほど強力なものはないでしょうけれど、貴方の仲間はそうはいかないでしょう」
「うん……わかった。気をつけるよー」
彼女の言葉へよくわからないままに頷く。不安そうな微笑みが返ってくる。
直後、上下左右の感覚のない闇の中でどこかへ引き上げられる感覚――
再び"目覚める"とフィーギーナに揺さ振られていた。
「ルヴニール。起きてください」
「ん、んー……もう交代時間?」
目を擦りながらルヴニールは起き上がる。抱えていたグレムリンはまだ眠っている為、そっと放して寝かせておく。
「いえ、その……」
珍しく少女の歯切れが悪い。不思議そうに彼女の方を見た青年は、その背後の外を眺める。
激しい吹雪は止まっていて、雲の切れ間から美しい望月がのぞいていた。
真円を描く光の筋。しかし、それは遠い距離のものではなかった。
「先程から、厭な予感がしてならないのです。もうすぐ交代時間でもあるのですが」
「そ、そう……」
ルヴニールは笑みを浮かべながらも冷や汗が流れていた。
彼女の背後の窓に映るのは望月、からの光で浮かび上がる白く大きな球体。中にふわりと身体を丸める女性の姿が一瞬見えた。
唇が動く。
ヒ ト ダ
思わず少女へ注意を促そうとして、パワーズの言葉を思い出す。
『貴方の仲間はそうはいかないでしょう』
「ま、まあもうすぐ交代なんだよね。じゃあ後は私が起きてるよー」
言いながら、青年はフィーギーナをグレムリンと一緒に毛布へ押し込む。
「はい。お気をつけて」
少女はされるがままに目を閉じた。すぐに眠りへ入るが暗殺者である彼女のことだ、何かあれば目を覚ますのだろう。
(さーて、どうしようかなぁ。これ……)
もう一人の見張りであるバーサーカーにはまだ気付かれていないのを確認しつつ、青年は思案し始めた。
To be continued...