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2010.4.27 【菊】
Novel stage / original:Absoetia
《Alles Gute zum Geburtstag!》
アブソエティア国の王城。
普段通りにラートが登城すると、同僚であるキルシェが彼を見て不思議そうな表情を浮かべた。
「何かついているか?」
そう尋ねると、白の青年は真顔で尋ね返してきた。
「……貴方は今日、通常業務ですか?」
「ああ」
当然のことを告げる。問は更に続いた。
「夜までかかることも当然わかっていますか?」
「無論だ」
すると尋ねた本人は大きな溜息をついた。その反応の理由がラートにはわからない。
「……何が言いたい」
意味を聞く。本当に気付く気配のない彼へ、友人は思案した後ラートへ言った。
「貴方は忘れているのですか。今日はフロイライン・セレーノの誕生日でしょう?」
「それがどうかしたのか」
平然と言い放つ騎士に、その場にいた王子すらも脱力したのは言うまでもない。
しかし少年はすぐに復活すると、白の青年へ命じた。
「……キルシェ、宰相殿を呼んできてくれないかな。その後、丁度いいもの探してきて」
「御心のままに」
ふわりと白いケープを翻して青年は部屋から退出する。
騎士はその背中を見送りながら、無表情の仮面の下で疑問符を溜めていた。
王子と宰相と友人に送り出され、騎士の青年は婚約者の元へと向かった。
「まあ、ラート様」
先触れは来ていたとはいえ突然の訪問にもかかわらず、彼女は嬉しそうな微笑を浮かべて彼を迎えた。
「夜分遅くにすまない」
「いえ。来ていただいただけで光栄ですわ」
更に奥へと案内しようとするプリマヴェーラへ、ラートは持参したプレゼントを渡す。
「その……誕生日、おめでとう」
キルシェが用意した、様々な花を纏めたブーケ。
騎士の青年にとっては花屋で作ってもらったように見える花束だが、受け取った彼女は大きく目を見開く。
「ああ……なんて素晴らしいのでしょう!」
プリマヴェーラは心から感動している。
よくわからないままのラートを置いてきぼり気味にそのテンションはあがっていく。
「私の誕生花のキク、それも異なる季節のものまで沢山……嬉しいですわ」
あまりの嬉しさにか涙まで溢れている。
「あ、ああ。喜んでもらえて何よりだ」
「こんなにお手数をかけていただいて、ラート様、本当にありがとうございます……!」
満面の笑顔で感謝する彼女を見ながら、騎士の青年は友人の白の青年へ心の中で感謝した。
Fine.