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2010.4.17 【刀】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《古の武器》
守護者のいなくなったバジャの迷宮。
ルヴニール達はこれからの行き先を決めるための先行偵察と迷宮の探索に分かれた。
迷宮に残ったのはルヴニールとアサシンのフィーギーナとオークオラクル。妙に懐いてしまって青年から離れようとしないグレムリンもこちらだ。
その入り組んで広大な内部ゆえに、今は二人(?)で分かれて探索に回っている。
古い時代の迷宮らしく、使われている石は非常に脆くなっているものも多い。だが、それでもわかる精密な装飾があちこちに施されていた。
「結構すごいところだったんだろうなー」
「ぎぃっ!」
小悪魔を肩に乗せてルヴニールがぶらぶらと歩いている。使い慣れた金の錫杖を持ってはいるが、その様子は小悪魔と同じで遊びにでも来たようだ。
守護者、朱鳥が率いる者達と戦った広いホールから伸びる長く折れ曲がった通路を辿って行く。崩れた石壁を乗り越え、時折ある小部屋を開いていく。
残っているのはかつて使われていたのだろう、石や木材で作られた机や椅子。
「……あれ、これって」
何部屋か巡っているうちに彼は錆び付いた金属製の道具を見つけ出す。明らかに日常生活に用いていたようなものもあれば、武器と思しきものもある。
「へぇ……ヒルダちゃんとか使えると思わないー?」
「ぎっ!」
「じゃあ持って帰ってみようかー」
「ぎぃぎぃ」
グレムリンは青年の肩からぴょんと飛び降りると、短剣などあまり大きくない物を両手いっぱいに抱えている。
「無理しないでねー」
にこにこと見守りながらルヴニールも長物を中心に纏めて片手に持つ。流石に錫杖を持つ手は開けてある。
「ちゃんと持ったかな。じゃ、一回戻るよー」
「ぎぃっ!」
流石に持っている重さで高くは飛び跳ねられず、小悪魔はその場でダンスを踊るようにスキップした。
「ただいまー」
集合場所である迷宮の入口部分では、既に偵察へ行っていたメンバーが戻っていた。
「おかえりなさいませルヴ。随分沢山持ってきたのですね」
彼の姿を真っ先に認めたシャーマンが声をかけた。
「うん。手を入れたら使えるかなって思って。ヒルダちゃん、カイム、一緒に見てくれない?」
「ぎぃっ!」
『ああ』
「わかった」
がらがらとグレムリンが目の前に小さな武具を投げ出すのに慌てて飛びのきながら、二人は使えそうな物と錆びの塊をより分けていく。シャーマンはその横でキャンプの準備を進めている。
ルヴニールは武具をチェックしている二人を見ていた。二人の目線はかなり真剣だ。
「錆びてはいるがなかなか良質な物が多いな」
『長物も申し分ない』
そうして探しているうちに、ヒルダが首を傾げた。
「片刃、それも反りが深いな……」
刀身は曇ってはいるものの錆びついてはいない。ヒルダの握る柄の部分は綺麗に紐のようなものが硬く巻きつけられている。
手元を覗いたルヴニールはじーっとそれを見て、手を軽く一つ叩く。
「あ、これって刀?」
「刃物としてはかなり鋭いだろうが、使い方に癖がありそうだな」
「そんなに難しくなかったと思うよー」
ちょっと貸して、と彼は刀を手に取った。
右手に持って、もう片方の手を刃の背に添えて構える。そしてゆっくりと刃先を動かしていった。
真っ直ぐに振り上げ、添えていた手を柄の下へと持ってくる。そのまま静かに下ろした途端、勢いが変わった。素早く左右を切り分け、横一文字に切り分けて収めた。
鈍い切っ先が緩く空気をかき回し、そよ風を起こした。
「こんな感じー」
ふぅ、と一つ息をついてルヴニールは身体の力を抜いた。
光景を見たヒルダとカイムはそれぞれ思うところがあるのか悩む表情を見せた。
「それだけ出来るなら、使ってみるか」
「え、うん。いいよー。でも私、研ぎ方わかんないんだけどー」
『……どちらにしろ刃物の手入れくらいは覚えろ』
「結構刃物も増えてきたしね……わかったよー」
とりあえずやり方を覚えるのは研ぎの段階に入った時、と決めて、ルヴニールはとりあえずその場を離れた。
手が空いたのを目ざとく見つけて近寄ってきた小悪魔と遊びながら、青年は半分上の空でシャーマンの支度を手伝っていた。
(私、どこで使い方覚えたんだっけ……?)
Fine.