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2010.4.16 【甘】
Novel stage / original:Two Little Stars
《おさなご》
博は拾ったネコの仔達を寝かしつけた後、そっとパソコンの電源を入れた。タワー内のハードディスクが静かに起動し、ディスプレイに光が点る。
にゃーにゃー鳴き出す声が聞こえない事を確認してキーボードを弾き始めた……。
翌朝。
「飼い主起きるにゃ! ネコは空腹にゃ!」
「ネコはお腹空いたにゃ! 勝手に食うにゃ!」
ネコの仔達が博のベッドの上に飛び乗る。ぽんっ、ぽんっ、と寝台が弾むが青年はまったく起きる気配がない。
子供達は一瞬反応のなさに顔を見合わせる。そして今度はぽふぽふと毛布の膨らみを叩き始めた。
「ヒロシ、アンテールがお腹空いてるにゃ! 早くご飯よこせにゃ!」
「ステラもお腹ぐーぐーにゃ! 起きるにゃ!」
「うー……」
寝返りを打つ博。二人のネコが期待の目を注ぐ中、彼は目を擦って……再び枕の中に沈む。
「むー。起きないにゃー」
「どうするにゃー」
(流石にそろそろ起きないとまずいか……)
ぼんやりと起きようとしていた青年が目を覚まそうと考えていたところ。
がぷっ。
がぷっ。
「……っいってぇ!?」
両肩に走った痛みで一気に意識が覚醒した。
「ほはようなー」
「ほひたなー」
「噛んだまましゃべんな!」
噛み付いた二人を即座に引き剥がす。抗議の声を上げる前にネコの仔達を片手に一人ずつ抱えあげて、足音も荒く廊下へ歩き出す。
「ようやくおきたにゃ」
「なんか機嫌悪いにゃ」
「そりゃあいきなり噛まれたら機嫌悪くもなるわっ!」
青年を挟んで顔を見合わせるステラとアンテールへ怒鳴る。驚いて博を見上げるネコ達はばつの悪そうな、というよりは泣きそうな表情を浮かべていた。
クローンという技術で人工的に産み出された獣人種は外見と年齢が比例しない。言葉をすらすら喋っていたことから外見年齢通り十歳かそこらだと博は考えていたが、どうやらもっと幼いらしい。
「ヒロシ……怒ってる、にゃ?」
「ネコ達を、捨てる、にゃ?」
ネコの仔達が、ひっく、としゃくりあげ始める。
無言で食堂に入った青年は抱えた二人をイスの上へ降ろした。そして、向かい側へ座ると言った。
「……捨てねぇよ。今更」
ぴん、と子供達の耳が立った。
「本当にゃ? ネコ達を捨てないにゃ?」
「ネコ達、ここにいていいにゃ?」
「お前らの引き取り手が見つかるまでは、な。今は俺がお前らの飼い主になってやるよ」
身を乗り出してまで尋ねてくる目の前に、博は立ち上がりながらいつも置いてある菓子鉢を置いた。中には飴やクッキーといった甘いものが入っている。
「猫は甘いのがわかんねぇらしいけど、とりあえず食っとけ。今朝飯作ってやるからな」
「はいにゃ! アンテール、食べるにゃ!」
「ステラも食べるにゃ! ヒロシが主にゃ!」
大人しく、いや、騒がしくも菓子を食べ始めたネコの仔達を苦笑しながら見た博は、それでもどこか微笑ましくその光景を見ていた。
Fine.