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2010.2.19 【斧】
Novel stage / Fan Fiction:LοV
《新たなる地へ》
聖堂都市ザフーを発って数週間。
パワーズのアルカナを得たロード達は神聖王国スペルヴィアと魔界王国ルクサリアの国境へと向かっていた。
「結局、あの信徒の方々はどうなさるのでしょう」
シャーマンの少女が何気なく言った。神を信仰する者としては気になるらしい。
「おそらく現状維持じゃろう。あれほど強固な信仰は一石一夕に変わらぬよ」
その問いにオークの司祭が六角棒を弄びながらこともなげに言い放つ。
「教団、だっけ。纏めてる人たちもいるみたいだしねー」
賛同するのはどうにかアルカナの暴走を抑えたルヴニール。今はあの時の脆い様子は全く窺えない。
「ほっほっほ。むしろ主へ刺客を送ってくるかもしれんぞ?」
「ええー。そこまで元気なのはいらないー」
わたわたと手を振る青年。
「……お前ら」
そのやり取りに切れたのはバーサーカーの女性。
「いい加減にカイムを見習って真面目に戦え!」
ウォークライのついでに怒鳴りつけるヒルダ。その前では黒翼を広げる青年が黒い剣を振るっている。
彼らの眼前には小規模ではあるものの、敵が攻撃しに来ている。
ルヴニール達はルクサリアとの国境まで赴き……ある光景を見た。
数千を越える魔種の軍勢が国境を多い尽くしている光景。それが魔界王国ルクサリアは戦力を集結している、という噂の実態だった。
消耗戦にすらならない圧倒的な戦力差。慌ててその場を離れはしたのだが。
「イタゾ! イタゾ!」
空で喚きまわる黒い皮膜の羽の悪魔、ガーゴイル。斥候役で飛び回っていた所に偶然居合わせ、その後もずっと付きまとって敵を呼んでいる。
一応最も遠距離を攻撃できるシャーマンが雷を落としているのだが一人だけではなかなか落としきれない。
カイムやヒルダは地上を向かってくる相手で手一杯だ。それでも既に魔種や不死族など向かってきた数体は地面に這っている。
このままだと敵が増える一方だと考えた青年は。
「……ああもううるさいーっ」
幾分八つ当たりもこめて手に持っている錫杖を闇の力を纏わせずに悪魔へと投擲。そのままでは物理的ダメージにしかならないが、魔種であるガーゴイルはかえってこの方が効くのだ。
その軌道に回避するまでもないと考えていた悪魔は、甘かったことを直に知る。
「ギギャッ!?」
羽に、錫杖が突き刺さっていた。そのまま交戦中の前衛の真ん前へ落ちる。
「随分とめちゃくちゃなことをするのぅ……ほれ」
司祭が六角棒を翳して振ると、襲ってきた魔種達に宿るアルカナの力が削げる。これらは全てルクサリアを治めるロードの使い魔、与えられた力が削がれれば命も削がれる。
「援護さんきゅっ」
その隙に何も持たないルヴニールが前衛へ走り込む。驚くヒルダが咎める前に、彼は倒れた不死族の武器を奪い取る。
片手で持てる斧……既に鎧しか残らない重装暗黒騎士が持っていた、雷を纏う斧だ。
「ていっ!」
そして籠められた力を解放するように前へと叩きつけると、円状に落ちる雷の衝撃。
「ええい、行き当たりばったりな」
『武器なら使いこなせるのか』
「大体の武器は使い方は知ってるー。当てにくい武器だと厳しいけどねー」
目の前の巨人が倒れたヒルダがそのまま切り込んでいき、ルヴニールとカイムが続く。 本人の言葉通り、斧の扱いは下手ではない。体力に不安がある為、後衛からでも援護のできる杖の方が安定する、ということらしい。
「これ以上増えないし、今のうちに行くよー」
もう援軍を呼ぶ要因となっていた悪魔は雷で黒コゲになっている。
残り三体の魔種がヒルダの刃に切り裂かれたのはそれから間もなくだった。
To be continued...