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2010.2.16 【使】
Novel stage / Fan Fiction:LοV
《断罪の天使》
聖都ザフー、雲海の神殿。
それは宗教国家スペルヴィアの信仰の中核をなす聖ザフー山、頂に聳える聖堂都市の大神殿。
他の地域において多くの力なき人間は奴隷や食糧として扱われていることもあるが、この地では絶対唯一神への信仰の元に人々が集い、都市を形成している。
ルヴニール達は人間に近い姿を持つ者しかいないことを利用して巡礼者を装って入り込み、現在は宿の一室に留まっている。
「しかし、この後どうやって会うつもりだ?」
バーサーカーがそう切り出す。
この地にいるというロードはスペルヴィアの核である唯一絶対の神の教えを説く者。教団の力が強いこの都市で下手に戦いなど始めたら、あっという間に信者の波に潰されるだろう。
「んー」
ころん、と床に転がっているルヴニールは一転がりすると、上体を起こす。
「多分、それは心配要らないよー」
「どうしてですの?」
シャーマンの少女が首を傾げた。
青年はにこにこ笑いながら、あっさりと答える。
「行ったら会ってくれるよー。向こうも私を殺したいだろうから」
「ほっほっほ。そりゃそうじゃの」
オークの司祭があっさりと同意した。
「アルカナを集めたいのはお主だけではない。ここのロードとて主のアルカナを狙っておるじゃろう」
「そゆことー。そこでなんだけどー」
青年が見たのはシャーマンとオークオラクル。
「二人が行くつもりなら、私は今のうちに契約しておきたいんだよー」
ヒルダやカイムの時の様に、死が訪れる前に戦いが終わるとは限らない。そして死んだ後では蘇生する事が出来ない。
それならば、もう解除できないかもしれないというリスクを負っても死ぬ可能性を減らす。
「どうするー?」
その返事は、二人とも即答だった。
「私はもうルヴニールと最後まで共に行くと決めました。お願いいたします」
少女は微笑んだまま頷き。
「ほっほっほ。わしも今更引き返さんよ」
司祭は六角棒をぽんぽん、と手で遊びながら笑う。
「ん。わかった」
すると、今度はその瞳から光が消えることなく伸ばされた両手が同じ魔法円を描く。
「ロードとサーヴァント……結ぶ線を描くー」
それぞれの人差し指が描く軌跡が赤く光り、円が閉じられるとその光は二人へと吸い込まれていく。
「終わりー」
にぱ、と青年が両手を顔の横で広げてみせる。
「ふむ。何かが変わることはないのじゃな」
司祭は自分の体を見下ろしてあちこちを確かめている。
『お前の方も異変はないか?』
前回の契約時は半ば強制的だったことを聞いているカイムはルヴニールへと尋ねる。向けられた眼差しへ青年は頷きで返した。
一段落着いたのを見て、ヒルダは立ち上がる。
「そういうことならば、身柄を押えられる前にこちらから出向くとしよう」
「ようこそ……新たなるアルカナを持ちし者よ」
予想通り、阻まれることなく辿り着いた大神殿で待ち受けていたのは、一対の白き翼と剣を持つ神の使徒。
断罪の天使・パワーズ。
「こんにちわ、おねーさん」
にこにこと微笑んだルヴニールが手を振る。
「唯一絶対の神の下にこの世界を統一するため……貴方には礎となってもらいます」
雪のように冷たい目が彼らを見下ろすが、青年の笑みは変わらない。
「ごめんねー。私、死ねなくなっちゃったから」
金色の錫杖が手に握られた。
「そのアルカナ、貰うね」
To be continued...