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2010.2.12 【耳】
Novel stage / Fan Fiction:LοV
《石に
ヒルダは数日間で集めた情報を地図に書き起こしていた。
「これでほぼ石の情報は集まったな」
聖都ザフー、グーラ海上要塞、魔都シヴィラダ、オグド砂漠、世界樹の根元、そして全てが始まった場所、王都アヴァリシア。
アケローン大陸の中央近辺に存在する呪い森からなら、少し足を伸ばせば大体の地域の情報を押さえられるのだ。
「ヒルダちゃん、どーお?」
ひょっこりと後ろから覗き込んだのはルヴニール。
世界についてほとんど何も知らない男性陣は慣れる為に同行することもあったが、どうしても情報に耳をそばだてる役目は女性のものになる。
なにしろ都市名を言われても彼らにはどこだかわからないのだ。
「ああ、大体まとまった」
言いながらヒルダはシャーマンに貰った地図でロードのいる場所を示す。
「リヴァイアサンを倒したという少女の話は聞けなかったが、彼女が向かったというグーラ海上要塞が落ちたという話も聞けなかった。おそらくまだ向かっている途中だろう」
「ふーん……」
ルヴニールはじーっと地図を見てから、彼女に尋ねた。
「ねぇ、この地図ってここからだとどう見ればいいー?」
「方向ということか?」
「うん」
女性はテントの外の森で方角を確認し、直に青年へ地図を持たせた。彼はじーっと地図を見てはあちこち遠くを見るような目をする。
すると、すぅ、と紅蓮の瞳が石のような輝きを帯びる。
りぃ…………ん……。
集中しなければ聞き取れないほど微かに響く、何かが震えるような音。
「……何だ?」
ヒルダは何か波紋のようなものが空気中を広がっていく感覚しかない。その発生源が何であるかなども当然わからず、周囲を警戒しはじめる。
りぃ…………ん…………。
もう一度震える音が聞こえる。まるで返事を返したかのように。そして空気の振動が止まる。
「……お嬢さんはまだあっちの方にいるみたいだね」
ルヴニールが小さな声で言った。
その呟きに周囲を警戒していたヒルダが青年の方を向く。昼間なのに心なしか彼の顔色が青く見えた。
「お前が何かしていたのか」
「う、うん……漠然と、何かがあるような感覚がしてたから、広げたら何か、わかるんじゃないか、って」
いつもの明るい笑みを浮かべているのに、言葉は途切れ途切れ。
「それで、その方角が地図のロードの場所と、同じだったか、ら……」
ふらり。
彼の身体が傾ぐ。
「おい!」
ヒルダが咄嗟に肩を支える。片腕で長い刃を扱う彼女が上背もそんなに変わらない細身の青年を支えるのは苦ではない。
一瞬意識が途切れたようだが、ルヴニールはすぐに気がついて自分で立とうとする。だが力が抜けるどころか、汗も止まらなくなってきている。
「ご、ごめん、ヒルダちゃん。力が、はいんな、い……」
「まったく、ろくに知りもしない力を使おうとするからだろう!」
ルヴニールはもう支えるだけでは立っていられない。ヒルダは彼の意思を完全に無視して方に担ぎ上げた。
その時、森の中から老人の声がした。
「アルカナの共鳴を増やしたか。ほほ。無茶をするのぅ」
「危害を加えるつもりなら容赦はしない」
ヒルダはその気配を既に気付いてはいた。しかし状況として構っている暇はないのだ。
「何。ちょっとした森のオラクル爺の忠告じゃよ」
ほっほっほ、と笑う声がして、しげみを揺らす音が離れていく。
「今はただ力を使いすぎただけじゃ。じゃが、共鳴を起こしたことで全てのロードがそやつの居場所を知っただろう。そやつが知ったように、な」
微かに視界に入るのは、見たことのない文字が刻まれた六角棒。
「早く旅立つのがよかろうて。その際にはわしにも声をかけてくれよ」
その言葉を最後に、完全に気配が消えた。
To be continued...