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2010.2.10 【定】
Novel stage / Fan Fiction:LοV
《Revenir》
「痛いよー……」
「自業自得だ」
涙目で頭の頂点を押さえる青年を見下ろしながら、拳を解いた女性は元の位置へと戻った。
彼女が座ったのを見届けて、少女が口を開く。
「改めて、貴方にお聞きしたいことがあるのですが」
「なぁにー?」
問いを向けられた青年は両手を頭の上に置いたまま首を傾げる。
「貴方はどうして紅連の核石を得たのです?」
「どうして、って言われても」
彼は断片的に覚えていることを口に出していった。
「遺跡の探索を請け負って、中に入ったら一番奥の部屋で紅い石を見つけたんだー。そしたらすぐ機械仕掛けのガーディアンと戦闘になってー」
大きさなどを身振り手振りつけてその場の状況を説明していく。
「あらかた見終わってたし、それ回収して帰ろうと取ったら意識が遠くなってさー」
ぽてん、と寝るジェスチャー。直にぱっと目を開ける。
「気がついたら森の中にいて、目が紅くなってたよー」
あとは知っての通りー、と軽く手をうちならす。
ひどく簡潔ではあったが納得はできた三人。今度は話を終えた青年が尋ねる。
「私からも聞いていいかなー。元の世界に戻るにはどうしたらいいー?」
「その方法は一つしかありません」
少女はごく当然のように答えを返した。
「貴方はロードなのですから、アルカナを集めればいいのです。最も確実に力を得られる方法です」
「集めるって何するのー?」
「今の所持者を滅ぼせばいい」
次の問へ答えたのは女性の方。この大陸では誰でも知っていることなのだ。
「ロードはロードによってしか倒せん。倒されたもののアルカナは倒したものへ宿る」
「ふーん……喧嘩売るのはやだなぁ。もっと穏便な方法ないのー?」
青年はあまり気が乗らないようだ。
しかしシャーマンはこれも当然であるように言う。
「他にありませんわ。それに、アルカナを集めるのはロードの定めのようなものです」
アルカナ同士は響き合いますから、と少女は地図などをバスケットへ仕舞っていく。
すると唐突に女性が口を開いた。
「ところで、私はまだお前の名を聞いていないのだが」
「え?」
青年の笑みが少し引きつった。
ヒルダは更に詰め寄る。
「人に無理矢理渾名までつけておきながらお前の名を聞いていない、と言っている」
その発言にずっと成り行きを見守っていた男性も頷いている。
「え、えっとーえっとー……」
青年はじりじりとさがりながら、思いっきりそっぽを向いた。
「そういえば私もまだお伺いしておりません」
離れようとする後ろに少女が座り、にっこりと微笑んだ。
青年と同じように、楽しいというだけの笑みではなく。
最後に、男性が横からぽん、と彼の肩を叩く。
「……はい。観念するよー」
青年はがっくり、と肩を落とした。
しかし、すぐに諦めたのか顔を上げてにっこりと微笑む。
「私は、ルヴニール。ルヴって呼んでくれると嬉しいなー」
その夜。こっそり青年がテントを抜け出した。
「一緒にいたみんな大丈夫かなぁ……強いから大丈夫だとは思うけど」
どこかに行くわけではなく、ただ、夜空を見上げて呟く。
「心配してくれなくてもいいから、忘れないでいてくれたら、嬉しいな」
誰にも届かない小さな声は、空気に溶けて消えた。
To be continued...