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2010.1.25   【机】

Novel Stage / original:Willwart

《ブラックスター家の家具事情》


 



 

 りんごーん。
 呼び鈴に気付いたギルフォードが玄関の扉を開けると、そこには運送屋の制服を着たモンシロチョウの翅を持つ少女。
「お届け物です」
「すまない。助かった」
 差し出された伝票にサインをしながら、黒翼の青年は彼女の後ろにある妙に大きい荷物を見てげんなりする。
 彼自身が頼んだものではないからだ。
「それでは失礼します」
「お疲れ様」
 運送屋の少女を帰して、ギルフォードはとりあえず。
「……レスター!」
 おそらく頼んだ当人を呼び出した。
「ん……ああ、来たか。悪いがギル、中まで運んでくれ」
「今度は何を買ったんだ」
「あれ、言ってなかったか。机だよ」
 顔だけ出してとっとと戻る兄に溜息をつきながら、彼はとりあえず梱包された机を中に運び込むことにした。

「うん。これでいいな」
 流石に運び込んだ後はフォレスターに任せて見ていたギルフォードは、出てきた机を見て眉間にしわを寄せた。
 机自体はすばらしい出来で、上質な木材を使用した書斎机。引き出しには華美にならない程度に細かい細工が入っていて、上品に仕上がっている。
「いい机だろう、ギル」
「そうだな。机に文句はない」
 机の側で両手を広げて喜ぶ兄につかつかと歩み寄ると、襟首を掴んで頭を下げる弟。
「で、今度の理由は何だ?」
「何のことだい?」
 それでもあくまでしらばっくれる。
 しかしそれでも追及の手は緩むことはなく。
「今度はどんないわくで買ってきた、と聞いている」
 鋭い視線が真っ直ぐに見上げている。
 すると、誤魔化すことを諦めたのか、満面の笑みになってフォレスターは語り始める。
「大したことはないんだけどな。ちょっと前の持ち主が何故か何度も一番上の引き出しに指を挟んで怪我したり、その前の持ち主は搬入中に頭上へこの机が降って来てお亡くなりになったりしたぐらい」
「十分だ」
 ギルフォードはそのまま窓から兄を放り投げた。
 しかしこの兄弟において弟が兄に口で勝てるわけもなく……この机は新たな主を得ることになったのだった。

 フォレスター=ブラックパール。
 異名には事欠かない彼の呼び名の一つは『いわくものつきコレクター』である。


 Fine.

 

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