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2010.1.24 【夢】
Novel Stage / original:Abyss of Time ~ After the Nightmare ~
《悪夢の欠片をひとつ渡して》
『……どうして……どうして、あなたが……』
『……い』
『……いかないで…………お願い……いかないで!』
「おい、菘(すずな)……菘?」
眠っていたはずの僕は、肩を揺さぶられて目を覚ました。
仮眠を取る和(のどか)を待っているのが暇だったのは覚えている。結局僕もそのまま眠ってしまったらしい。
目を開けると、ぼんやりと見える心配そうな顔をしたスーツの刑事さん。
「……おはよ、和」
欠伸をかみ殺しながら僕は軽く手を上げて、微笑んでみせる。
「ああ、おはよう……人造人間でも夢を見るんだな」
すると和は、普段通りすべてが面倒とでもいいたげな表情になる。
でも僕は、和がこの表情の方がなんとなくほっとする。
「ま、僕はちょっと作成プロセス違うから、そのせいかも」
「そうか」
僕は大きく伸びをして立ち上がり、帽子をきちんと被りなおす。
それから軽くジャンプ。和の目の前に立つ。
「じゃ、和の仮眠も終わったことだし、調査の続きに行こう?」
何も言わずに歩き出すかと思っていたのだが。
「いや」
和は否定した。
「あれ、まだ眠たい?」
僕がそう言うと和は無言で再び仮眠室の寝台に横になる。
「……そんなもんだ」
「じゃ、僕もまたここにいるよ」
同じように寝台へ両肘を突いてよりかかる。
立っていた時より和の顔が近くにある。
「おやすみ」
僕がそういうと、和は目を閉じる。
そして。
「……お前も少し寝れ。嫌な夢を見たんだろう」
目を閉じたままそう尋ねてくる。
「僕は人造人間だからそんなに寝なくても大丈夫だけど」
さっき不思議がったくせに、と僕はくすくすと笑った。
「それに、きっと嫌な夢じゃないよ」
そして、重ねた腕に頭を預けながら小さい声で続ける。
「……もう、夢でしか会えないから」
和とは最近知り合ったから向こうはこの事情は知らない。そう判っていても、なんとなく言いたかった。
今、どんな顔をしているんだろう。それとももう寝てしまったかな。
言葉は、返ってこなかった。
でも。
伸びてきた手が僕の帽子を取って、それからくしゃり、と頭を撫でた。
今はいないあの人とは違って、強くて大きい手だったけれど。
同じくらい優しくて。
「……ありがと、和」
悲しい気持ちがどこかに溶けていく気がした。
今度はきっともっといい思い出で会えるよ。
和が悪いものをどこかへ持っていってくれたから。
Fine.