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2010.1.29 【疾】
Novel Stage / original:Willwart
《どこまでも遠くへ》
空中都市ウィルワート郊外。
なだらかな雲がかなりの広範囲にわたって広がっている縁を、三人の男女が疾風の如く空をかけている。
白翼の青年と少女、そして黒翼の青年。
意外なことに最も早いのは年下の少女。続いて黒翼の青年、白翼の青年と続く。
ゴールに設定してある丸い雲にぽふっ、と突っ込んだ少女が振り返って晴れやかな笑みを浮かべて言う。
「えへへ。ギルくん、おにいちゃん、はやくー」
小さな手をいっぱいに広げて振る。
「お呼びだそうだが。アレク」
「うるさいっ!」
あえてスピードを落としてまで知らせるギルフォードに怒鳴りつけ、アレックスは白い鳥のような翼を羽ばたかせて一気に抜く。
その様子を見送った後、黒い皮膜の羽が翻る。高度が上がり、滑空に近い形で大気を滑り降りた。
アレックスの頭上、雲を切り裂いて現れた黒い人影が彼よりも先に手を振る少女の背後に回り、そっと小さな体を抱えた。
「きゃあ!」
「……ゴール」
「な、ギルてめぇ!」
「きゃ、おにいちゃんまで!」
僅かな距離を詰めた白翼の青年もまた、きゃあきゃあ喜ぶ妹を抱えた。
二人の腕の中にいる少女は嬉しさや安らぎ、あふれんばかりの感情がこもった満面の笑みを浮かべる。
「ずっと、ずーっと、みんないっしょでいようね!」
その笑顔があまりにも純粋で。
何も言わず、青年達は少女に微笑みを返していた。
「…………」
「帰ってきてから七転八倒悶絶するくらいならやらなければよかったのではないかね、ギル」
Fine.