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2010.2.2 【石】
Novel stage / Fan Fiction:LοV
《紅石の記憶》
集まってきたのは何の力とも言いがたい、あえて言うならば混沌の力。
およそ直径二メートル程の球形の空間が歪み、空が見えなくなっている。
そして何か人影のようなものが、中に生じた。
「転移魔法か何か、か、な……」
見守る青年は口に出した途端、軽い頭痛に襲われる。
「……あれ、どこか、で」
ルビーのような赤い石。
『……空虚……なるほど』
朽ち果てた遺跡の中。
『保険にはなるか……』
漆黒の闇に飲み込まれてしまう。
『行くがいい……』
伸ばした指先が触れた途端、光が迸る。
『紅蓮の……ロード…………となるために』
濁流のように叩きつけられる切れ切れの声と光景。
「何、今……のわぁっ!」
いきなり送り込まれた情報に戸惑っている暇もなく、頭上から落ちてきたのはあの歪みの中に浮かんでいたらしき人影。
見事に潰されて、考えていたこともあらかた吹き飛びそうなくらい悶絶している。
落ちてきたのはつぶれている青年より少し年上に見える男性。長身に旅装束を纏い、腰に剣を帯びている。ただし、腰部後方に見えるのは黒い鳥のような大きい翼。
あまり動かない表情で、彼は周囲をゆっくりを見回している。
「で、できれば先によけてくれないかな……」
下から聞こえる声に男性は立ち上がると、手を差し伸べた。
「あ、ありがとー」
引き上げられた青年が笑顔のままでそう言うと、礼には及ばない、と言いたげに男性は手を振った。
そして、再び無言で周りを観察し始める。
しばしの沈黙。
「えっとさー」
静寂に耐え切れなくなった青年がおずおずと男性へ声をかける。かけられた当人は目線だけを青年へ向けた。
「ここどこか、わかるかな?」
当面で一番の問題をたずねる。
しかし、返されたのは横に振られた首だった。
「そっかぁ……私もわからないんだよね」
そう、青年が言った時。
がさっ。
草むらを掻き分ける音。そして、人の声。
それは、次第に二人へ近付いてきた……。
To be continued...