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2010.1.21 【整】
Novel Stage / original:Willwart
《お片付け》
空中都市、ウィルワート。
「ただいま」
習慣通りに用事を終えた黒翼の青年が家へ戻ると。
「ギルくん、おかえりなさぁい」
「やぁ、おかえりギル。お客さんだよ」
そこにはリビングの長いテーブルに本を4列ほど積み上げた挙句、客であるはずの白翼の少女に片付けさせているぐうたらな兄の姿があった。
もっとも、当の両人はまったく違和感を感じてはいないようで。
「レスターおにいさん、このごほんはどこですか?」
「ん……医学全書だからE列五段目。二巻目があるのでそれの隣においてくれたまえ」
脚を組んで座り目線と指示しか出さない黒翼の男性。
「はぁい」
大きな本を両手で抱え、ぱたぱた飛びながら本を片付けていく少女。
帰宅した青年は大きく溜息をついた。
そしてまず。
「……レスター」
「なんだ」
何もしない兄へ苦情を言うことに決めたようだ。
「客に本を片付けさせるな」
しかし、フォレスターは本に目線を落としたまま平然と答える。
「パールはいい子だね、ギル。早く私の義妹になってくれないものか」
まったく答えになってない答え、のはずなのだが。
「……何を言い出す」
ギルフォードは思いっきり動揺している。
返事が遅れたことに気付いたのか、兄は顔を上げるとにやりと笑った。
「そこで動揺するということは脈ありのようだね。
私としても気心のしれた可愛いお嬢さんが来てくれるのは大歓迎だ」
わざわざ本を閉じて両手を広げる。その顔は笑ったまま。
「こ……っ、レスター!」
「落ち着きたまえ。冷静なお前らしくもない」
「誰のせいだ」
窘められ口調に冷静さが戻るが、僅かに頬が赤い。
「と、ともかく、自分の本は自分で片付けろ」
「はいはい」
動揺しているのを誤魔化すように繰り返すと、流石に重い腰を上げて本を纏め始めた。
その様子を見届けてから、青年は少女へ声をかける。
「パールも片付けなくていい……と、どうした?」
パールは呆然と立ったまま、両手で本を持って目の下を隠している。
「どこか痛い所でもあるのか?」
「う、ううん! なんでもないの!」
再び声をかけると、彼女は慌てて背を向けて本棚へと飛び立ってしまう。
「あ……行ってしまったか」
まあ戻ってきた時に引き止めればいいだろう、とギルフォードはそのままリビングで本を分類別に並べ分けている。
二人の様子を見ながら、ぽつり、とフォレスターが呟く。
「やれやれ……まだ先は長そうだね」
Fine.