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2010.1.18 【将】
Novel Stage / original:Abyss of Time
《冬と言えば》
テレビが冬将軍の訪れを告げる冬の朝。
「すずな、おいでー」
「はい」
紫さんが自己メンテナンスをしている僕を手招いた。
普段の白衣ではなく、ピンク色の毛糸の帽子と襟にふわふわのファーがついた厚手の白い外套を着ている。
「お出かけですか?」
「うん。お前もだ」
にこやかに笑う紫さんは僕の頭におそろいの毛糸の帽子をのせ、手に持っているもう一着紺色の外套を渡す。
「折角冬なんだし、いかにも冬ってところに行こうと思ってね。
別に討伐とかの任務じゃないから気楽に、な」
「わかりました」
僕が渡された外套を着ると、紫さんは満足そうな顔をする。
「うん。いい感じだ。じゃ、行こう!」
「はい」
チャーターした空の便でも天候で少し遅れながら、数時間後には紫さんと僕は北の大地に立っていた。
今いるのは街の真ん中にある大きな公園。
「雪がいっぱい……」
研究室は郊外にあって周囲に雪も積もっていなかったわけではない。だが、都市部にも関わらず雪が沢山降り積もる光景は初めてだった。
「綺麗だろう?」
「はい。とても」
「ま、やっぱり冬と言えばここだからな」
紫さんは温かい缶のココアで両手を温めながら、少しずつ飲んでいる。
「昼間も雪に太陽の光が輝いて綺麗だろう?
夜になると今度はイルミネーションがついて、それも綺麗なんだ」
「一日中綺麗なんですね」
暗くなって、今は光の灯っていない電燈に光が入って。想像しただけでもきらきらしている。
「折角だから夜の方も見たいか?」
「いいんですか?」
「遠慮するな! その予定だった」
紫さんが元気よく立ち上がり、空き缶をゴミ箱にシュートする。缶は放物線を描いて金属製のカゴの中へ。
「そうと決まったらとりあえず昼食にするか。やっぱりカニがいいかにー。
午後は雪像見て、展望台も行きたいなー」
どうも僕を連れてきたかっただけではなく、紫さん自身が来たかったようだ。
とても楽しそうにパンフレットを開いて、紫さんは鼻歌交じりに歩いていく。
『冬なのでカニ将○でカニを食べてくる。
朝ゆで毛蟹うまー(^▽^)v しゃぶしゃぶうまー(^▽^)v
土産に冷凍の蟹とか鮭とか帆立とか送っとくから皆で食べてくれ。
皐月 紫』
「ゆ、紫さん、あなたって人は……」
「逃げましたね……」
「北海道の蟹か。それは楽しみだ」
「「あなたは黙っててください」」
Fine.