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2010.9.3 【紙】
Novel stage / original:Two Little Stars
《おりがみ》
双子達が部屋から出てこない。
元々一度集中すると夢中になる性質なので、今までにも部屋に篭り続けていたこともある。だが朝から晩まで、というのはいままでなかった。
一応食事時に呼び出すと出てくるが、さっさとかきこんですぐ部屋に取って返す。普段なら博が叫んで散らさなければ食堂から出て行くことのない双子が、だ。
側の廊下を歩く。
古い家だけに板張りの廊下はきぃきぃ音を立てる。耳のいいネコの仔達に届いていないわけがないのだが、部屋の中からはまったく反応がない。
あまりにも普段と違う様子に青年は段々何をやってるのか気になってきた。
「……何か悪巧みをされてても困るからな」
そう呟くとふすまに手をかけた。
「ステラ、アンテール。入るぞ」
日頃入る前には確認しろと叱っている立場としては本人が破るわけにはいかない。きちんと声をかけて入ろうとすると、中からばたばたと走る音が聞こえた。
「駄目にゃ!」
「まだ入っちゃ駄目にゃ!」
開こうとしたふすまが押さえられる。いくら幼くても流石に二人がかりが相手では勝てない。
「だが」
「もうちょっとで終わるにゃ!」
「そしたらちゃんと寝るにゃ!」
あけようとしてもふすまはがたがた言うだけ。
「……あと一時間だぞ」
子供特有の頑固らしさを持ち合わせたネコの仔達を説得するのはなかなか難しい。そのため、縛りを設けることで出てくるように仕向けることにした。
食堂に戻って本を読みながら一時間。同じ出版社というだけで面識のない作家のエッセイだが、なかなかに面白い視点から切り込んでいて楽しめた。
「時間だな」
本を置いて部屋へと向かおうとした時、ばたばたと足音が食堂へと向かってきた。
今この家に住んでいるのは青年とネコの仔達だけで、客人も来ていない。つまりこの足音は。
「あいつら、なんだってんだ」
唖然として立ったまま待つと、案の定飛び込んできたのはネコの仔達。
「出来たにゃ!」
「出来たにゃ!」
満面の笑みで双子が掲げているのは十二、三色はありそうな色とりどりの球。ところどころが歪にはなっているが、上手く周囲が支えあっている。
数日前に青年が双子達に買ってきた折り紙の本に掲載されていたユニット折り紙の完成形が、目の前にあった。
「どうにゃ!」
「きれいにゃ!」
きらきらと大きな目を輝かせるネコの仔達の頭を、青年はそっと撫でた。
「良く頑張ったな」
『へぇ……写真だけとはいえ綺麗だな』
『本当にゃ!』
『ああ。目の前で見て見たいな』
『そうにゃね!』
数日前の会話を思い出しながら。
Fine.