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2010.7.3 【魂】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《血濡れの霊峰》
支配者を失ったシュピーゲ雪原から西へ。魔都シヴィラダとの間に横たわる、霊峰から続く山脈にルヴニール達は差し掛かっていた。
途中、放置された村なども見かけたが、概ね普通の光景が広がっていた。
返って怖くなるくらいにあたりまえの旅路。
だが、それが終わりを告げたのは、皮肉にも霊峰と呼ばれた山脈へと足を踏み入れた時だった。
「少しだけ、お待ちくださいます?」
立ち止まったのはシャーマンの少女。本当に少し入っただけの時点で、何かを確かめるように周囲を見回している。
その前を歩いていた青年が振り返って、不思議そうに尋ねた。
「どうかしたのー?」
「……おかしいですわ」
彼女はそれだけ応えると、今度は宝玉の嵌った杖を構える。そして薄く広く、まるでルヴニールがロードの場所を探った時のように意識を集中させていった。
急に謎の行動を取り始めた彼女へ仲間達の視線が集まる。
その中心でシャーマンは、ふと、顔を上げた。
「ここには街もなにもございませんのに、死んだ方……そう、魂のようなものが沢山存在しているのですわ」
生命活動を行う者達に宿る魂。もちろん、何もない場所に大量自然発生するようなものでもない。魂が残る条件は……死んだことを知らないか、強い感情を持ったまま心でいるか。
「あまりよろしい場所ではございませんわ。早く抜けましょう」
「う、うん。わかったよー」
普段はどんな結果が出ようとも淡々と告げていた少女が、初めて感情らしきものを見せたことに押され、青年はとにかく頷いた。
「気をつけるよー」
言いながら、彼は気付いていた、
影から一つだけではなく、大勢の視線が見つめているということに。
(人だ。人がいるぞ)
(シヴィラダに向かっているわ。何も知らないのかしら?)
(な、なあ……何も知らないなら……)
(それが嫌でここまで来たのにか!)
(でも、いつまでここにいればいいの?)
(食糧だってそんなにあるわけじゃない。もう限界だ)
(なら、いっそ)
(あいつらを、差し出せば……)
To be continued...