since 2010.1.1/1日1題に挑戦終了。現在不定期更新。
〓 Admin 〓
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2010.7.2 【雀】
Novel stage / original:Willwart
《小さな迷子》
「あなたはどこからきたの?」
ちゅんちゅん。
白翼族の掌の上で、雀が弱弱しく鳴いた。
聞いている少女には無論その言葉がわかるわけではないが、首を傾げて尋ねる。
「お母さんを探しに来たの?」
ちゅん。
雀は微かに頷いた、ようにも見える。
「そっか。じゃあいっしょにさがそう!」
納得した天翼族の少女は頷いて、笑顔でその背の翼をはばたかせる。
長い金色の髪が風にたなびく。
雀を両手で抱え、ふわり、と雲から彼女は降りた。
引かれるままにゆっくりと落ちていく。真っ直ぐではなく、風が流れるに任せてふよふよふよふよと。
雲から大分降りてきた頃、少女は改めて眼下を見る。
先程より随分と近くなった地上。ぽつぽつと街や町のおぼろげな輪郭くらいは見えてくる。
「……あなたは、あそこにかえるの?」
少女が手の中へと話しかけたとき、雀は既にそこにはいなかった。
「あれ」
きょろきょろと周りを見回すと、隣に自力ではばたく雀の姿。単純に高く上がりすぎただけだったらしい。
「もう、いっちゃうの?」
少女が悲しそうに言った。
しかし、雀は少女の周りを一回りすると、小さな翼で地上へと戻っていく。
天に住む少女はその姿を見送るしかなかった。それが点になって、もう見えなくなっても。
「……ばいばい」
彼女は、小さく手を振った。
Fine.
PR
この記事にコメントする