365 letters 2010.7.2 忍者ブログ
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2010.7.2   【雀】

Novel stage / original:Willwart

《小さな迷子》


 


 

「あなたはどこからきたの?」
 ちゅんちゅん。
 白翼族の掌の上で、雀が弱弱しく鳴いた。
 聞いている少女には無論その言葉がわかるわけではないが、首を傾げて尋ねる。
「お母さんを探しに来たの?」
 ちゅん。
 雀は微かに頷いた、ようにも見える。
「そっか。じゃあいっしょにさがそう!」
 納得した天翼族の少女は頷いて、笑顔でその背の翼をはばたかせる。
 長い金色の髪が風にたなびく。
 雀を両手で抱え、ふわり、と雲から彼女は降りた。
 引かれるままにゆっくりと落ちていく。真っ直ぐではなく、風が流れるに任せてふよふよふよふよと。
 雲から大分降りてきた頃、少女は改めて眼下を見る。
 先程より随分と近くなった地上。ぽつぽつと街や町のおぼろげな輪郭くらいは見えてくる。
「……あなたは、あそこにかえるの?」
 少女が手の中へと話しかけたとき、雀は既にそこにはいなかった。
「あれ」
 きょろきょろと周りを見回すと、隣に自力ではばたく雀の姿。単純に高く上がりすぎただけだったらしい。
「もう、いっちゃうの?」
 少女が悲しそうに言った。
 しかし、雀は少女の周りを一回りすると、小さな翼で地上へと戻っていく。
 天に住む少女はその姿を見送るしかなかった。それが点になって、もう見えなくなっても。
「……ばいばい」
 彼女は、小さく手を振った。


 Fine.


 

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