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2010.6.30 【情】
Novel stage / Fun Fiction:ととモノ。
《表情》
フェルパーの少年は眠気を誘う黒板の文字から目を離すと、教室の窓から校庭を見下ろした。実技の時間だろうか、別のクラスが各々の武器を持って戦闘訓練を行っている。
無表情な視線の先はどうしてもまず知り合いに向く。
力がない割にモーニングスターを飄々と振り回す、何を考えているのかよくわからない僧侶職についているアラン。その相手をしているのは彼よりも華奢なエルフの神女のリデルだ。
それぞれチームに分かれているのか、アランの後ろには弓を構えたクラッズの少女と杖を重そうに持つ妖精の少年が、リデルの後ろには鞭と拳をそれぞれの手に持ったクラッズの少年と妖精の少年と同じ杖と大きな盾をもったエルフの少年が立っている。
あくまで武器の訓練の為か、お互いに攻撃する魔法は使っていない。しかしアラン側の攻撃はエルフの少年、サイキが張った魔法壁によって防がれ、リデルや盗賊のクインズの攻撃は全員が身軽なアラン側のメンバーに当てられず、あたっても僧侶の能力で回復してしまう。
黒板をちらりと見るが、書かれている内容は先程同様興味を引くようなものではない。
ザクスはいつしか戦闘訓練の方に集中していた。
戦闘経験の差のせいか、リデル達は皆真剣というより焦りを見せている。比べてアランはいつも通り笑顔を浮かべ、妖精の少年は無表情に近い。クラッズの少女は中れば喜び、止められれば悔しがるといった豊富な表情を見せる。
傍から見ればからかっているとも思える戦い方に、フェルパーの少年は微かに笑みを浮かべる。付き合いの長いザクスには、彼らが彼らなりに真剣なのはわかっていた。
もっとも、そうは見れられないことも。
にっと笑ったユノの放った矢がサイキの張った魔法壁を打ち砕く。
リデルが後ろへ詰められない様にとアランへ切りかかり、彼はモーニングスターの柄を使って余裕で受け止める。紛れていたクインズも彼女のフォローへ回り、注意がアランへ集まった。
「……終わったな」
ザクスはこっそり呟いた。
サイキが魔法壁を再構築しようとするが、少しばかり遅かった。
注意されていなかった妖精の少年が空中からエルフの少年を強かに打った。彼の持つ杖は威力こそ高くないものの、状態異常を付与するものだ。
ぱたん、と眠りについたサイキ。
悠々と離脱するユーシェルをクインズが追撃しようとするが、ユノの正確な射撃がそれを許さない。
ザクスが呟いた通り、ユノが魔法壁を割り、アランが注意を引き付けた段階で勝負はついていたのだ。
丁度授業終了のチャイムが鳴る。
真面目に聞いていたクラスメイト達が立ち上がる中、感想でも聞いてみようかと思ったフェルパーの少年もまた椅子を引いた。
Fine.