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2010.5.10 【札】
Novel stage / original:Two Little Stars
《こいこい》
「これで終わりだ」
博が手に持っていた最後の札を場に出す。双子の落胆の声が響いた。
「ぜんぜん勝てないにゃー!」
「ネコの方が枚数取ってるのにゃー!」
「役に繋がらなきゃ意味ないだろ。ほら、約束だから寝ろ」
にゃあにゃあ騒ぐネコの仔達を布団へ押し込むと、男性は投げ出されたままの札を片付け始めた。
片面が赤い柄、もう片方の面には梅や桜、短冊などが描かれた小さなカード、花札である。
発端は夕食後、自分の仕事へ集中した博に構ってもらえなかったステラとアンテールがおもちゃを探して部屋をひっくり返し、引き出しの片隅にあった花札に気付いたことだった。
「お花の絵にゃ?」
「これは緑だけどよくわかんないにゃ」
トランプよりも堅くて小さい札。
ネコの仔達は興味津々でひっくり返したり、かじったり、投げつけたり。
最初はそれでも大人しかったのだが、次第にテンションが上がってくると。
「いくにゃっ!」
「返すにゃっ!」
どかっ。べちっ。しゅっ。にゃあにゃあ。
「うるさいぞお前等っ!」
ばん、と障子が外れそうな勢いで博は襖を開ける。
きょとん、と青年の方を見たステラとアンテール。どうも札を放り投げ、空中にある間でキャッチしていたらしい。
「ヒロシにゃ! 一緒に遊ぶにゃ!」
「ネコ達は暇にゃ! 飼い主遊ぶにゃ!」
驚きから解放された双子は目を輝かせて青年の腕へぶら下がる。
「俺はまだ仕事なんだよ」
そう答えながらも、博はネコの仔達がそう簡単に引き下がらないことをわかっている。
そこで申し出たのが遊んでいた花札による勝負。ネコの仔達は二人で解説書を読みながら、勝てば一緒に遊び、負ければ大人しく寝ることという条件だ。
青年からの誘いを断るわけもなく、喜んで勝負は始まり、予想通りに博が勝ちをおさめた、というわけだ。
「いつもこのくらい楽にすめばいいんだがな」
約束通り大人しく寝始めた双子達へ通りすがりに毛布を掛けなおしてやりながら、彼は再び机についた。
数週間後。
「アンテール、やったにゃー!」
「ステラ、やったにゃー!」
「嘘だろ……?」
双子同士で鍛えまくった花札の腕は、あっと言う間に上達した。
Fine.