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2010.4.1 【初】
Novel stage / Fun Fiction:世界樹の迷宮
《Bard's Tale - Bird's Tail -》
初めて歌ったの?
そうだね……結構幼かったと思うよ。
僕は歌に興味を持ったのは結構早くて、街に来た吟遊詩人の詩や親が覚えている歌とかを片っ端から覚えたんだ。
どちらかというと囃し立てるよりは語る方が性に合ってたみたいで、その時は物語が中心だったんだ。
隣の家に僕と同い年の子がいてね、よく詩をせがまれたんだ。
別に病弱とかそういうわけじゃなかったんだけど、本人曰く「癒される」だって。
訳がわからないよね。僕もわからない。
そう、今でもわからないんだ。
せがんだその子だって歌うのが上手だった。祭の時に皆を鼓舞するような歌を歌わせると、すごく盛り上がるんだ。
普段も明るいし、面倒見もよかった。敵をあまり作らないタイプ、かな。
ちょっと話がずれちゃったね。
あ、でも関係はしてくるんだよ。
その子はね、鳥の羽根を宝物にしてたんだ。とても綺麗な青い羽根。
お父さんがお土産として買って帰ってきた、遠い森にしか住んでいない幸せを呼ぶ鳥の羽根なんだって。
幸せを呼ぶっていうのもあるけど、やっぱり綺麗だからその子はとても大切にしてた。仲良くないと見せてすらもらえなくて、僕以外に知ってる人はほとんどいなかった。
でもね、今、その羽根は僕が持ってる。
うん。理由はちゃんとあるんだ。
その子、両親の都合で引っ越すことになったんだ。父親の仕事についていくことになってね。
すごい嫌がってたんだけど、かといって独り立ちするにはまだ幼すぎた。
それで引越の前の日に家出しようとして、街の外へ飛び出しちゃったんだ。たまたま僕は計画を知ってしまって、放って置けなくて一緒についていった。
暗くて寒くて、もちろん今の冒険と比べれば大したことないんだけど、小さかった僕達にとってはすごく大変でね。
蛇とか大きな蜘蛛とか出てきたしすっかり疲れてしまったけど、寝る事も出来なくて。結局、大人達に見つけてもらうまでお互いに励ましてずっと起きてたんだ。
でもずっと緊張が続いていたせいか、僕は戻った途端、熱を出してしまってね。数日寝込んで、結局引っ越すその子を見送ることが出来なかったんだ。
起きた時、両親に話を聞いて僕は悔しかった。おわかれくらい言いたかったから。
でもその時気付いたんだ。その子がお見舞いに持って来てくれた物の中に、大切にしてた青い羽根が入っていることに。迷惑かけてごめん、という手紙と一緒にね。
僕が勝手についていったんだから、その子は迷惑なんてかけてない。そう言いたくてもその子はもう行ってしまったから。
それで、僕は街から出ることにしたんだ。
その子の父親は商売をやっていてあちこちに移動しているって話だったから、僕も旅を続ける冒険者を選んだんだ。
青い羽根のお守りのせいか、僕はこうして仲間にも恵まれて、大きな怪我をすることもなく今も旅を続けてる。
でも、これは返さなきゃね。あの子の大切な物だから。
僕のお話はこれで終わり。
……楽しかったかな。それならよかった。
Fine.