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2010.3.31 【計】
Novel stage / Fun Fiction:LοV
《計り知れない先を見る》
ぐるるぅ、と炎を吐く魔獣が傷だらけの身体を不死の魔術師の影に横たえる。
かろうじて消滅はしていないがただでさえ脆い身。ヒルダとカイム、シャーマンによって集中攻撃を受けた傷は決して小さくない。
もちろん番犬の炎を受けた彼らも無事とは行かない。けれどそれを差し引いても十分に優勢であった。
「こおおおおおぉっ!」
小悪魔の支援を受けたヒルダのウォークライが響き渡り、司祭が六角棒を振り回してアルカナの力を減衰させる。
ぱりぃん、という澄んだ音が鳴る。
更に輝きを宿した六角棒がリッチを薙ぎ、巨大な鎌の柄に受け止められる。
「どこまで続くかの?」
にやり、と嗤うオークオラクル。瞬時に下がると剣士達と位置を変える。
「死者だろうが切り裂いてくれる!」
「舐めるでない!」
元・魔術師とは思えぬ腕力がヒルダの一対の長刀と噛み合う。脇から突撃してきたバーサーカーをカイムが受けて立つ。
その間に小さな天使や悪魔達に指示を出し終えたガルーダが近付いてくる。僅かに遅れてルヴニールやアサシンも走ってきている。
「やらせないぞ!」
朱翼が広げられ、特殊技を封じ込める力が発動する直前。ずっとタイミングを計っていたシャーマンがその杖を掲げた。
「今度こそそうはいきませんわ……我を守護せよ!」
青い宝玉が強い輝きを放ち仲間全員を包み込んだ。
直後、リッチの背後から放たれた地獄の番犬の炎が涼やかな青い光によって打ち消される。
「お嬢ちゃんなーいす!」
そのまま前衛に混じったルヴニールが一気に地獄の番犬、ケルベロスを錫杖で殴りつける。更に両手で引っかくグレムリンの攻撃で悲しげな悲鳴を上げて魔獣は消えていく。
無論。
「今のうちに狙えー!」
「この馬鹿、出過ぎだ!」
ロードの腕を掴むガルーダの鉤爪をヒルダが斬りつけ、朱鳥が追撃を飛び立って逃げる隙に取り戻す。
「マスター、大丈夫ですか」
更に振り返ろうとしたリッチを両手の短剣で切り裂いて止めるアサシンが、怪我をしていない方の腕を引いて外側へ出す。
「皆、頼もしいねぇ」
にこにこと笑いながら、彼は再び錫杖を振るって小さな者達を打ち落とす。
その間にも前後からの攻撃を受けるリッチや実力の違う相手と一対一となっているバーサーカーは段々追い込まれ、空に舞い上がったガルーダはシャーマンの放つ雷により思うように動けない。
人数にして見れば二人増えただけ。
そのはずなのに朱鳥達はあっという間に追い詰められつつある。
この人間たちなら、もしかしたら。
迷宮の守護者は考えが間違っていなかったことを確信しながら、再び号令を出そうとした。
その頭上からは黒く輝く剣が降り注ぐ……。
To be continued...