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2010.3.26 【式】
Novel stage / Fun Fiction:Willwart
《桜舞い散る雲の上で》
かーん。かーん。
空いっぱいに鐘が鳴り響く。
雲の上の建物の中でも比較的大きい建物、幼い有翼族が種族の隔てなく集う幼年学校から正装に身を包んだ少年少女たちが飛び立っていく。
それぞれ違う翼、違う服装。けれど一つ同じなのは、その手で額に入った一枚の証書を持っていること。
卒業証書。
そう、今日は幼年学校の卒業式だった。
ここから先は個人の志望や適正にあわせて、それぞれ別の場所で学ぶことになる。
「よう、ギル」
「アレク」
黒翼の少年が振り返ると、学校の同級生だった白翼の少年が立っていた。その手にはやはり卒業証書がある。
「こうやって毎日学校に来るのも最後だよな」
翼がはためき、アレクはギルの隣に並んだ。
「ああ」
特に何の感慨もなく黒翼の少年は返す。そっけない反応の割には友人の感動がどんどん盛り上がっていく。
「お前は理学研究院の方に行くんだっけ」
「ああ」
「俺は戦術学校だから、こうして会うこともなくなるんだろうな……」
卒業式自体では半分眠たそうな目をしていたのに、今は妙に涙腺が刺激されているようだ。
アレックスは感情が豊かなだけに周囲の雰囲気に感化されやすい。式が終わって漸くそれが発揮されてきたようだ。
まったく影響を受けないギルフォードは、一応真面目に返した。
「別に戦術学校なら、隣接した医学院にうちの兄貴がいるだろう」
すると。
「……なんだか寒気がするは俺の気のせいか……?」
「……多分、気のせいだと」
感慨など一気に醒めたように白翼の少年は身を震わせた。幼年学校は十年続くため、その間ずっと仲のよかったアレクはギルフォードの兄のことを知ってる。
そしてフォレスターは……正直、わざと違えてるとしか思えない言動が多い。
わかっているからこそ黒翼の少年は苦笑するしかなかった。
「急に卒業したくなくなってきた」
「……頑張れ」
がっくりと肩を落とした白翼の少年の肩を友人の少年がぽん、と叩いた。
それから暫くして、黒翼の少年は白翼の少女と出会う。が、またそれは別の話。
Fine.