365 letters 2010.3.25 忍者ブログ
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2010.3.25   【刃】

Novel stage / Fun Fiction:LοV

《朱鳥》


 


 

 古の時代、山脈の地下に築かれたバジャの迷宮。
 その護人たる朱の翼を持つ巨大な鳥、ガルーダは遺跡の中心部のホールで他の使い魔たちと共に傷を癒し終えていた。
 ルクサリアへと抜ける唯一の道。
 だが、例えロードに命じられずとも彼はこの迷宮を守るつもりだった。むしろ、ここのロードのやりようは気に食わない。
 それでも、ガルーダはこの地を守る。約束を果たすために。
「人間のロードめ。何度でもくればいい、全部受けて立ってやるぞ」
 ただ、もし。
 もしも、あの人間達が迷宮を抜けて行ったら。その時は――
 ぐるるる……。
 ケルベロスが唸り声を上げた。
「みんな、行くぞー!」
 ガルーダが号令をかける。あの人間達が再びやってきたのだ。

 松明の炎が揺れる。
 長いトンネルを抜けて、天井の石が崩れたところまで彼らは戻ってきた。
「流石に今度は天井から降ってはこないみたいだねー」
「ぎぃ」
 小悪魔を頭上に送り込んでルヴニールは言った。もっとも確かにグレムリンは戻ってきたとはいえ、言葉を交わせるわけではないので偵察とは言いがたい。
「前回の奇襲で警戒されていることはわかりきっているからの。今度は正面から叩き潰す気じゃろう」
「総力戦になるな」
「今度こそ負けませんわっ!」
 そう話している間も相手の出てくる気配はなく、やがて広いホールへと辿り着いた。
「よく逃げずに来たな! 今度こそ終わらせてやるぞ!」
 怒りを燃やす目を輝かせた守護鳥。その指揮下にある火の鳥や地獄の番犬、前回は現れなかった双刀の狂戦士や自らの肉体を不死と化した魔術師までもが集っていた。
 またかなりの数の小さな天使や悪魔がその上空を飛び回り、国境ほどではなくとも十分すぎるほどに重圧を与えている。
 もっとも、それに怯むような者がロードである訳がない。
「こっちも逃げててもどうしようもないからねー」
 にこにこと笑みを浮かべて、金色の錫杖を構える。
「守りたいって事は知ってるけど、押し通る」

 二度目の戦いの幕が上がった。

 開幕の初撃は火の鳥と番犬による二重の炎、のはずだった。その二体が口腔の奥に炎を点らせた直後。
「させません……双影斬っ」
 本当に影から現れたように見える小柄な少女が、その両の手に持つ刃で炎を吐く前に不死鳥を切り刻む。
 渾身の力をこめた一撃はフェニックスの炎の翼を大きく切り裂き、ブレスの代わりに甲高い鳴き声を上げさせる。
 もう一体は動揺しながらも比較的固まっている集団の方へと炎を放つ。近くにいたヒルダとカイムが僅かに赤へ染まりながら犬の方へと抜け、終わり際にルヴニールが不死鳥の方へ走っていく。
 最初に弱みを突いてくる使い魔の掃討に入ったのだ。
 守護の鳥はばさっと翼を広げると迷わず番犬の方へと飛んで行き、小さな天使や悪魔達へ火の鳥の方へ行くよう指示を下す。
「あの暗殺者を先に狙うんだぞ!」
 ルヴニールが纏めて薙ぎ払っても落ちるほど小さいとはいえ数が多い。
「フィーちゃんご指名だってー。人気があって重畳重畳ー」
「マスターが狙われないのならそれでいいです」
「私そんなに頼りないかなぁ……」
 即返された言葉に凹みながら、べしべしと飛んできたのを打ち落とす。ついでに火の鳥も。そしてフィーギーナは鳥を狙い続けていた。
 この二人の武器は共に闇を纏うもの。再生を繰り返すフェニックスにとっては忌み嫌う力だ。
 火の鳥はみるみるうちに力を削がれていく。更にルヴニールの肩に乗っていた小悪魔がぴょん、と飛び降りると。
「ぎっ! ぎぃ! ぎぃ~!」
 飛んだり跳ねたり回ったり。くるくるダンスを踊り出すと、不思議と彼らの勢いを鼓舞する力となる。グレムリンの持つ小悪魔のダンスと呼ばれる能力だ。
 その直後。
「双影斬っ!」
「これで終わりー」
 鼓舞を受けたことで再びその両刃を繰り出したフィーギーナと闇の力を大地からクリスタル状に固めて吹き上げルヴニールの攻撃に、火の鳥は一声鳴いて消えた。
「さて、向こう助けにいこっかー」
「はい、マスター」
「ぎぃ!」


 To be continued...


 

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