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2010.1.12 【大】
Novel Stage / original:Willwart
《Little Girl》
天空都市、ウィルワート。
地上とは比べ物にならないほど広大な都市の縁に当たる部分では、降りることを禁じられている遥か遠くの海が眼下に見える。
その境界線を見ているのは十代後半の青年。濃く青いロングコートの背からは竜や悪魔のような皮膜の張られた黒い羽が生えている。
ばさり、と羽がはためくと、彼の長身の肢体を運ぶ。
青年は風に乗って雲の上へと運ばれる。
雲は重なった厚みによって視界を塞ぎ、遠くまで見通すことは出来ない。
その中を青年は都市の中心部へ向かって真っ直ぐ飛んでいく。
いや、行こうとした。
しかし彼は途中で羽を止めた。
「……泣き声?」
周囲を見回すが発生源を見つけることが出来ない。
彼はあえて近くの雲の中を通って探しまわった。
「ふぇ……」
やがて、雲が重なっているところで視界の隅を金色がよぎる。
「そこか」
青年は見かけた金色へと向かう。
すると十代前半か半ばくらいの、天使のような白い翼を持つ少女が泣きながらうろうろしている。
「ここ、どこなの……」
碧色の目の縁が泣き過ぎて赤くなっていた。
「……迷ったのか?」
彼は少女に声をかけた。
急に声をかけられた少女は、
「ふ、ふえぇえええぇっ!?」
驚いて振り返ると同時に勢いよく後退した。
青年は慌てて言葉を続ける。
「あ、その、泣き声が聞こえたから、来たんだ」
混乱しているのか少女は不思議な問いをした。
「大人の、ひと?」
翼を持つ者達は十代後半から二十代前半で外見の年齢が止まる為、青年ほどの姿になると実際の年齢が判らなくなるのだ。
「いや……君とそれほど離れてはいないだろう」
少女はおずおずと青年に近付いて見上げる。
「たすけてくれるの?」
「……ああ」
青年は少々戸惑いながら手を差し出す。
「……ありがとう」
すると少女は差し出された手を取るのではなく、ぎゅっと腕に抱きついてきた。
青年は更に困惑したが、そのままで再び都市の中心部の方へと向かった。
そうして連れて行った先が、青年の友人の家であり驚くことになるのだが、それはまた別の話。
Fine.