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2010.8.2 【銃】
Novel stage / original:Abyss of Time ~ After the Nightmare ~
《SIG P220》
夏のある朝。僕が特殊捜査課の部屋に入ると、中にいたのは和だけだった。
「おはよっ、和」
「ああ」
僕は最近作ってもらった和の隣の机に背負っていたバックパックを置くと、一つの箱を取り出した。
「はい。言付かってきたんだ」
言葉にこちらを振り向いた和へ箱を渡した。臙脂色の蓋がついたB5サイズくらいの箱で、丸にYを組み合わせたシンボルが金色で描かれている。
中身を見なくても和はそれが何なのかはわかっていて、何も聞かずに受け取る。
僕が座ってみていると、蓋が開けられる。
中にあるのは蓋と同じ紋章が刻まれた拳銃と弾倉が十前後。
銃と弾をざっと確認すると、和は手早く銃をホルスターに納め、銃弾もそれぞれ携帯分と予備用に分けて仕舞う。
もちろん、普通の警察官は銃を携行しない。けれど、特殊捜査課のメンバーはそれぞれ何かしらの武器を持っている。物は人によって違い、和の様に銃だったり、自分の身長近い長さの剣だったり、僕にはよく名前もわからないようなものだったりもするが、明らかに通常の警察官の装備にはない。
その全てが、対イレイサー用の武器だからだ。
和も翔を操って戦うが、その間自分の身が守れなければ困る。その際に使うのが、自衛隊隊員などが使うSIGP220に対イレイサー能力をつけたこの拳銃だった。
弾丸に込められたダメージを与えることの出来る紋章が、光速で銃身を通過することによって効果を発揮する。
大切なものだが、前回のイレイサー戦において高所から落ちた和。本人の怪我も酷かったが、同じ高さから落ちたこの拳銃もグリップ部分が割れてしまった。
その修理を『久遠の薔薇』にある専門の部門が請け負っていたのだ。
「前回は大変だったし。直って良かったねー」
僕が呟くと、鍵の掛かった棚などを忙しく往復していた和が僕の方を見た。手を止めると、バツが悪そうに言う。
「……悪いな。助かった」
別に約束していたわけでもないのに、何も言わなかったことに気付いたらしい。
「お礼言ってもらえたしいーよ」
僕がそう返すと、そうか、とだけ言って和はまた片付け物に入る。
今はこれだけで済ませているけど、和は本当に律儀な人だから。
僕は相変わらず和の様子を見ながら、こっそり机の上に置いてある出前表のメニューを眺めた。
(今日のご飯は何をねだろうかなー)
心の中でこっそり舌を出した。
Fine.