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2010.3.1 【志】
Novel stage / original:Abyss of Time ~ After the Nightmare ~
《遺志から意志へ》
警察庁、特殊捜査課。
あいからわず誰も訪れず静かな部屋で和がデスクワークに励み、その脇で僕はテレビをつけながら紅茶を飲んでいる。
現在は昼を少し過ぎたあたり。なんとなくつけた情報番組が右から左へ流れていく。
正直暇だった僕は和へ尋ねた。
「そういえば、和はなんで警官になったの?」
和は面倒そうに顔を上げる。一応相棒としてここにいるのだから、それくらいは興味がある。
僕は造られた者だから何故も何もない。でも少なくとも和は自分で選んで警察官になったはずだ。
「……どうでもいいだろう」
和からはつれない返事。
また書類に書きこもうとする前に、机へ腕を乗せてその上に頭を載せる。
「だって暇なんだもーん」
じーっと見上げる。最初は無視してさらさらとボールペンを走らせていたが、そのまま見続けていると段々そのスピードが遅くなって。
二十分後。
和はぽつりと呟いた。
「……祖父も父親も、警察官だった。おそらく、裏のことに気付いていた、な」
「え?」
僕はびっくりして立ち上がる。和の横顔がすぐ目の前にある。
和はこちらを向かない。けれど、言葉は続けてくれた。
「だから幼い時に守る事の大切さを聞いていた。そして、もう今の俺にとって当たり前のことになった」
いつの間にか動いていたボールペンは止まっていて、和は何かを思い出すようにじっと書類を見ている。
「そっか……和が使う武器は、おとーさんやおじーちゃんから教わったもの?」
「そうだ」
「ふーん……なんか、いいね。そういうつながりって」
僕は椅子を持ってきて和の隣に座った。
すると直に椅子を少し離される。
「テレビでも見てろ。まだ整理が終わってない」
「はーい」
再び紙の上でボールペンが動くのを見て、僕はテレビの方を向いた。
ちょうど健康器具のCMが流れていた。
じゃあ和にも長生きしてもらわないとね。
Fine.