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2010.11.15 【蝶】
Novel Stage / Fun Fiction:LoV
《Butterfly Dance》
また一匹の蝶が翅を落とされ、触覚をもぎ取られ、身体を三つに裂かれ、朽ち果てた。
白く美しい翅を持つ神の御使いである蝶は、白地に黒の翅を持ったまだ小さかった蝶に。
果てを感じさせない紺碧の翅を持った蝶は、漆黒の翅を持つ鋭い縁を持った蝶に。
白い気紛れな模様の入った黒い蝶は、内に隠し持っていた牙を剥き出しにした御使いを降した蝶に。
そしてつい先程、嘆きに暮れるくすんだ緑と赤の翅の蝶が漆黒の蝶の前に滅びた。
"それ"は満足そうに虫篭を見ている。何の金属でできているかよくわからない籠は色すらも揺らめいて見えて何色かということができない。
中には他の蝶を殺した二匹の蝶と、いまだに動かない二匹の蝶。それらは籠の中に入っている不思議な形の真珠色のプレートに止まり、プレートと同じ色の散らばった細かな欠片で遊んでいる。
紅い瞳を持つ蝶はあと四匹。
"それ"は待っているのだ。
他の蝶を引き裂いて行く毎に、ただでさえ紅い瞳がもっと紅く染まっていく蝶達。彼らが最後の一匹まで減ったとき、その蝶は一体どうなってしまうのか?
そして一つに集められた真紅の瞳が持つ力を手に入れる瞬間を。
"それ"は一辺が三十センチメートル以上ある立方体の大きな虫篭の隣にある、掌に載るほどのドーム状の虫篭へ意識を向けた。
鈍く光る金色の輝きが眩しい網目模様。中心には細い直線の針金のようなものが一本、上下に走っている。
虫篭というよりは。
豪奢な昆虫標本台。
"それ"は金色の台から意識を離すと大きな虫篭の方へ戻す。籠の中にばらばらと真珠の色をした蝶の触覚の先程もない大きさの欠片が散らばり、黒白の翅と漆黒の翅の蝶が驚いたように飛びのいた。残りの二匹は動かない。
動いた二匹は降ってきた欠片へ興味を持ち、周囲の欠片を何度も突く。そして気に入ったのか、いくつかの欠片を遊んでいた欠片の中へと加える。元の欠片を弾き出したのもいる。
動かなかった二匹は変わらずにもともと遊んでいた欠片を弄んでいる。だが、その欠片というのは動いた二匹のよりも比較的大きいものが多かった。
"それ"は楽しそうに意識を弾ませた。
八匹いた紅い瞳の蝶はもう半分。
きっと残り一匹になるまでいままでよりもかからないだろう。
だから"それ"は待つ。楽しそうに、嬉しそうに。
生き残った一匹に金色の針を突き刺す瞬間を。
Fine.