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2010.11.21 【消】
Novel Stage / Fun Fiction:LoV
《Human's Load》
主の消滅した城の一室でルヴニールは横になっていた。
仲間達もベルゼバブの前で見せた狂態の後であり、その原因である記憶を断罪の天使の手によって返された直後であることを知っているせいだろうか。数人が街の様子を見に行く間休むことを咎めなかった。
そうして青年は今日もまどろみの中へ落ちる。
緩やかな漆黒の闇の中、青年の意識だけが覚醒する。
今、青年の心の中に断罪の天使はいない。未だ彼にもわからない記憶を届けてくれた後、そのまま留まって魔都の様子を見に行っているのだ。
救える人がいるのなら救いたいと。
「パワーズちゃんは本当に真面目だなぁ……」
ぽつり、と呟きながらルヴニールは待った。こうして夢の世界で意識が覚醒したということは誰かが呼んでいるのだ。
膝を抱えていわゆる体育座りで待っていると、案の定浮かび上がってくる人影。
ルヴニールも細身だがもっと細く小さな人影。身体に纏う鎧は赤く染まり、漆黒の長い髪に冠するするのは銀色のティアラ。腰には青銀に輝くレイピアが鞘に赤黒い染みをしみこませて落ち着いていた。
瞳には紅いアルカナの輝き。だが表情としてはかなり戸惑いの雰囲気を漂わせている。
「こんばんは、でいいのかな」
先に少女へ声をかけたのは青年。にこにこと笑って声をかける彼とはまったく正反対に、少女は一瞬眉をしかめて無表情になる。
けれど、言葉は紡いだ。
「これでロードが四体、消えた」
「……そうだね。あと私と君と、あと二人かな」
「その上で私に何の用」
青年の側に立った少女は冷たく座ったままの彼を見下ろす。いくつか年下であるはずの少女の方が厳しい表情をしているのは性格の違いだろうか。
「私が呼んだわけじゃないよー」
「……何?」
「少なくとも意識的には。君は、何か私に話したいことがあるのかなー?」
その笑みにはまったく屈託がない。仲間へ向けるものと変わらない、明るい笑顔。
しかし少女は何かを思い出したように顔をしかめたが、それでもその場に座った。
「……おまえは、あの巨人のようだ」
「巨人?」
「嘆きの巨人、ラースジャイアント。アケディアのロードだった」
ルヴニールはまだこの地にはそれ程詳しくないが、どこのロードだったかはわかる。最初に彼らがいた禁忌の森があるのもあの王国だった。
「もう消えたが」
「消えて欲しくなかったの?」
なんども消えたという言い方をする少女が気になって青年は尋ね返すが、彼女は言葉を返さなかった。
二人の人間のロードは沈黙のまま座り続ける。
しかし、結局その答えが帰ってくる前に少女は再び立ち上がった。
「……時間だ」
「そっか……また会おうね。夢か現か、それはわからないけど」
少女は何も言わずに少し歩いていたが、唐突に止まると振り返って一言言った。
「またな」
そのまま漆黒の闇へ溶ける様に消えていった姿を見送りながら、青年は微笑んで自らの意識も同じ闇の中へと溶かしていった。
To be contienued...