肩を大きく揺らし、青年は荒い息をついていた。
爪の振るわれた部分の布地は裂け、血を含んでいるが、傷の跡はもう残っていない。
それでも出血のせいで体はふらついているが、構わずに倒れる男性と女性の様子を確認する。
二人とも青年に負けず劣らずの出血量、それも傷が塞がっていないため赤い流れは止まらない。
「いたいのいたいの……」
急いで力を集中させた。
その途端、ぐらり、と青年の意識が暗転した。
『それ……間に合わ……』
ノイズがかかった、かろうじて判別できる男とも女とも取れない声が囁きかける。
周囲を包む暗闇。そして、この声。
どこかで覚えのある状況だった。
『二人……助け……』
途切れ途切れの言葉を聞き取りながら、青年はどこか遠いところで自らの唇が問いを紡ぐのを聴いていた。
「どうしたら、助けられる……?」
すると、何故か満足そうにノイズのかかった声が答える。
『共に……思う……契約を』
「契約……?」
『力の、命の線……主と、使い魔……』
ぱしゃん。
青年は血溜りに手を突き、倒れかける上体を起こす。
そして焦点の消えた瞳で倒れた二人を睥睨すると、それぞれの腕へと触れる。
「……交わる血がロードとサーヴァントを結ぶ線を描く」
右手と左手の人差し指が触れた部分より僅かに上で弧を描く。まったく同じ紋章を。
それはほの紅い光を放ちながら倒れる身体へと吸い込まれるように消えていく。
すると一瞬その身体が光に包まれた後、すぐに様子が変わる。
悪くなっていた顔色が戻り、呼吸も安定したものになっていったのだ。
「契約は、結ばれた」
一言呟くと、その瞳へ光が灯る。
「これで大丈夫、なんだよね……?」
飲み込めない状況に対して不安そうに呟いた。
けれどこれ以上何かが集まらないよう、二人を水場から運び出しにかかった。
To be continued...