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2010.11.28 【真】
Novel Stage / Fun Fiction:LoV
《暗闇に潜む真実の欠片》
残る王国は二つ。
魔都の混乱も引いていき、ようやく魔界王国からの脱出が図れるようになったことから、ルヴニール達は再び北へと向かうことに決めた。猿田彦も混乱の中を単独で抜けていくのは難しいということで、魔界王国を抜けるところまでは付き合うらしくまだ残っている。
その出発前夜、彼らは夢を見た。
百年は経っているだろう、緻密に組まれた石壁は未だバランスを崩すことなく天井を支えている。
カンテラの灯が優しく大人二人は並べそうな通路を照らしている。
目に立つのは背を向けた少女。髪の短いその姿は一瞬少年にも見え、短剣を油断なく構えながら身軽な格好で周囲を警戒していた。
時折視線の主が何か話しかけるせいか、後ろを振り向く。迷惑そうではあるが、既に慣れたといった様子だ。
そして視線の主自身も忙しなく振り返る。
後ろにいるのは二人。前に立っている少女よりももっと幼いローブ姿の少女と鎧を着た視線の主より少しだけ高い男性。男性は耳が長く尖っている。
視線が向けられるたびに少女の表情はくるくると変わり、対照的に男性の表情はほとんど動かなかった。もっとも聞いていないわけではなく、頷きや短い言葉で返事が来ることもある。
そうして無防備にきょろきょろと見回していると、やがて通路は行き止まりになる。
他の道はないが何か捜しているものがあるらしい。視線の主を含めて四人は話し合い、壁や床を調べ始めた。
とはいうものの、その様子を観察している人間が真面目に道を探しているわけがない。先頭を歩いていた少女にジト目で睨めつけられつつ、適当に指先を伸ばす。
つんつんといかにもやる気のなさそうな様子でつついていると、煉瓦の形をした石が押し込まれた。
面白がっている様子でもっと押そうとすると背後から男性に止められる。彼は構造から隠し通路の類を探していたようだが、しっかり何かやらかさないかどうかも見張っていたらしい。
男性が呆れつつ押さえている間にも、ボーイッシュな少女が罠を調べ、もう一人の少女が腰に手を当てて唇を尖らせる。少し口を閉じた後、怒りが増しているところを見ると反省する気はまったくないらしい。
しかしその時、正面の壁が丁度半分くらいのところから左右に分かれて開いていった。
先にあるのは三十メートル四方ほどの部屋。
通路の正面に当る部分の奥には祭壇状の台があり、白い球体が奉げ持つ乙女を模った台に収められて鈍い光を放っている。
だが、同時に部屋の四隅から飛び出してくるのは実体を持たない精霊の塊。
それぞれが自身の属する精霊、火や水といった力を凝縮して今にも打ち出す準備は出来ている。
視線の主を含めた四人は怯むことなく、一気に部屋の中へと飛び出していく。
男性は一番幼い少女と共に最も近かった地の力を帯びるエレメンタルへ。もう一人の少女は全ての精霊から距離の取れる位置へ。
そして、視線の主は左奥にいた風のエレメンタルへ。
一気に突撃した先にあるのは風の塊。鋭い風の刃が襲ってくるが、幾筋かが掠るのみ。その間にも距離を詰めて持っていた長柄の武器を振りかざす。
闇を纏った打撃武器は風の塊に確かな質感を持ってうちつけられ、一瞬塊が霧散する。しかし次の瞬間。
今まであった風とは比にならないくらい強い風、いや、竜巻と呼ぶのが相応しいほどの勢いが巻きおこり視界が揺らぐ。
同時にどうやら少女の援護もあって地の精霊を殴り飛ばしたらしい男性も強い地震に襲われている様子が端に映る。
強い風と地の精霊の力が暴れまわる中、最も年少と思われる少女がもう一人の少女に向かって示す。
指先にあるのは乙女の奉げ持つ球。
手に持つ短剣を少女が球へ投げつけると白い球が砕け散る。不思議なことに欠片は宙に溶けて消え、その場所には小さな黒い石だけが残っていた。
その姿が現れた途端、精霊達の攻撃が更に激しくなる。
男性と二人の少女が合流したのを確認して、視線の主は手を振った。
直後、一気に走り出して祭壇へと向かう。
風が追いかけてくるのも構わずに直進して、視界の端で怒る少女達を確認しながらも黒い石へ手を伸ばす。
抵抗もなく石へ触れた途端、石の色が変わった。
黒から、紅へ。
そしてその表面に映るのは、眼鏡をかけているものの見覚えの在る姿……ルヴニール。
To be continued...