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2010.1.3 【潔】
《どろんこあそび》
Novel stage / original:Abyss of Time
「な」
キーを入力して入ってきた心さんが一瞬にして固まった。
「なんですかこれはーっ!」
「よう、心!」
「おはよう、ございます」
部屋の真ん中で僕は紫さんと座っていた。手も足も泥まみれにして。
「あ、おはよう、じゃなくて」
心さんがばたばたと駆け寄ってくるが、泥が広がっているところの直前で止まる。
「何やってるんですか紫さん!」
両手を腰に当てて、目を吊り上げている彼女に向かって僕は言う。
「いけないことでしたか」
そう言うと、心さんは酷く驚いた顔をした。
「す、すずな君だったの?」
僕は頷いた。
紫さんがにやり、と笑って泥だらけの両手を肩ほどの位置で広げる。
「なんでもかんでも私だと思うな、心」
「紫さんは日頃の行いを見てください」
心さんは紫さんにびしっと言ってから僕の方を向いた。その表情は幾分和らいでいる。
「すずな君、どうしてこんなことになったのかしら?」
「はい。紫さんが僕に外の土を持ってくるように言いました。
僕はバケツで運んできたのですが紫さんがこれはこうやって遊ぶんだと」
僕は床の上に広がる泥の湖を示して言った。
「……やっぱりあなたが元凶じゃないですか、紫さん。掃除してください」
心さんは紫さんを睨みつけながら、僕の服のまだ泥にまみれていない部分を掴んで引っ張り出す。
そして僕のコートを脱がせながら、紫さんへとは違って諭すようにゆっくりと言った。
「いい、すずな君。泥遊びは確かに楽しいけれど、室内でやるものじゃないの。
特に君はまだ清潔に保っていないといけない時期なんだから」
「はい。判りました」
「よろしい。じゃあ、上着はそのまま手に持って、手や足を洗っていらっしゃい。
使い方が判らなかったら側にいる人に聞いてね」
「はい」
僕は頷くと、上着を受け取って部屋の外に出た。
その後ろをついてこようとした紫さんが心さんに止められていた。
僕が部屋に戻ってきた時には、部屋は綺麗に掃除されていて、紫さんがモップ片手に疲れきっていた。
「なん、で、わたし、だけ……」
「あなたが元凶だからです」
Fine.
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