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2010.11.4 【殺】
Novel Stage / Fun Fiction:LoV
《殺宴の終幕》
あの殺意に満ちた青年が支援すると思っていなかったバーサーカーと猿田彦が反撃の好機にもかかわらず目を見張った。
唯一断罪の天使がふわりと舞い上がるとまとめて吹き飛ばされた蝿の女王へ携えた剣で切りかかる。
挑発した当人であるベルゼバブさえ動揺したルヴニールの行動に、天使はまったく動揺していなかった。それどころか予期していた節すらある。
「滅びなさい!」
光の力が宿る剣が細い女性のような姿の胴部を抉る。その切っ先は背後にいた別の分身にまでも届きそうなくらい深く深く突き刺さっている。
「ぐ、ぐぅっ!」
「おのれ……神の僕ごときが妾の宴を邪魔しやるか!」
苦痛と怒りにまかせて黒い塵となった一体を突破しつつ、串刺しになりかけた分身が天使へ迫る。
だが、驚愕による硬直から立ち直ったのは蝿の女王だけではない。
「こおおおおぉっ!」
張り上げられる狂戦士の雄叫びと共に、一対の長刀もまた黒き灰を突き破って繰り出された。刀には彼女の後ろから追いかける神族の加護がかけられている。
ざんっ。
女王の四肢が巨大な刃によって絶たれ。
ぐしゃっ。
残った肉体が地へ墜ちる前に、高く跳び上がった猿田彦の軍配によって頭をかちわられていた。
「さん。よん」
そして、ルヴニールが空いた空間へと飛び込む。途中で腕を落とされたベルゼバブの黒い錫杖を拾い上げると、即座に距離を取った最後の分身に対して突きつけて叫ぶ。
「フィーちゃん、フィニッシュ!」
杖から迸る黒い雷が扇状に広がって蝿の女王を打ち据えつつ、逃げ場を封じた。それでもまだ距離の短い方向へ、つまり青年の方へ向かって大きな翅をはばたかせる。
その姿が、仄かな炎の灯の照らす光の領域から闇の領域へと場所を変えた。
ベルゼバブが動いたからではない。
「……双、影、斬っ!」
錫杖の闇の力に紛れてルヴニールが呼び出した暗殺者の少女が両手を大きく突き出した。構えた双刃から走り出す黒い衝撃波が蝿の女王を襲う。
通常なら飛び上がってよけられただろうが、今は回避行動中。それも動いた直後だ。
「ぎ、あ、ああああああっ!」
正反対のベクトルが衝突するのにさして時間がかかるわけもなく、衝撃波が分身の胸を貫通した。
「わらわ、が……まけ、た……じゃ、と……?」
耐えがたい恥辱を受けたような表情を横目に、すたっ、と少女が地上に着地する。同時にルヴニールが笑顔で呟いた。
「ご」
最後の分身もまた黒い塵がひとところに集まると青年の瞳と同じ紅い色の結晶となり、吸い込まれるように一つの輝きとなった。
それはあっけないほど、簡単な幕引きであった。
To be continued...