365 letters 2010.10.26 忍者ブログ
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2010.10.26   【屶】

Novel Stage / original:Absoetia

《振り下ろされる一撃》


 



 

 澄み切った森の空気の中、おそらく数人しか入れないだろう丸太の小屋。
 その脇にある広いがしっかりした切り株の土台の上へ、一本の細めの丸太が立てられる。おおよそ大人の腕ほどの長さで、太さはもっとあるだろうか。
 手を離したのは背の高い青年。
 上着を脱いだ状態では程よく筋肉のついた腕が朝の光に照らされている。その掌には、鋭く研ぎ澄まされている屶の柄。
 短い金色の短髪の青年は正眼に刃物を構える。
 一瞬の精神集中。

 ――すぱんっ!

 差し込む光と同等近い一閃。
 綺麗な円筒形だった丸太が、縦半分に割れた。断面は振り下ろされた屶の側面と同じくらい滑らかなフラット。
 更にその半円筒形の丸太が台座である切り株とぶつかって音を立てると、イチョウ形を底面とした柱の形になる。
 たった一撃で薪となったのだ。
 さして表情も変えることなく青年は再び丸太を置き、一撃で四分割する。
 静かな空気の中に涼やかな音が幾度も幾度も響き渡る。
 何十回も音が響いた後、彼は手を止めた。うっすらと帯びた汗を、首にかけたタオルでぬぐう。
 シャツに細いパンツという服装とはまったく似つかわしくない荒々しい仕事なのだが、無愛想な青年がやると様になっていた。

「……あの人はココにおいていったほうがいいんじゃないでしょうか」
 小屋の中から青年の親友が溜息をつきつつ呟いた。


 Fine.


 

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