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2010.10.19 【満】
Novel Stage / Fun Fiction:LοV
《能天使の導き》
降り注ぐ刃の雨が終わった瞬間。白く突き刺すような輝きが空間を一時だけ支配する。
そして体中を瞳と同じ色に染めた青年が色なき刃を潜り抜け、分裂した蝿の女王のうち一体へと斬りつけた。更に追撃のレイジングスラッシュも放ち、分裂体を消滅させる。
「いち」
素早く体勢を整えると、玉座の上に着地する。
青年は何箇所も切り裂かれているものの致命的な頭部や胴部にはまったく怪我を負っていない。
代わりにコートの前面についているのは、黒い鳥のような羽根。
彼が立っていたはずの場所には、もう黒翼の男性はいない。大量の血の跡だけを残して老司祭も姿を消していた。
ホールの中央に立つのは左腕をだらりとぶら下げたヒルデガルドとオークオラクルが盾となり頭と右足を掠っただけで済んだ猿田彦。
そして……二人の眼前に舞い降りた断罪の天使。
「貴様は……」
「言いたい事はあるでしょうけれど話は後」
盾を翳した天使は腕を下ろすと後ろの二人へ背を向けたまま言い放つ。
「今は殲滅を。満たされない彼の殺意を止める為に」
ばさり、と翼が大きく羽ばたく。宙を滑るように青い衣につつまれた女性の姿態が薄暗いホールを横切ると白い剣が一閃される。
「ほう……」
判断が遅れて翅を切り裂かれる女王が苦痛に顔を歪めながら口の端を上げる。
「そなたはとうに滅びたと思うておったが」
「滅びたわ。今もロードだった時ほどの力はない」
反撃の黒い錫杖を盾で受け止めて、断罪の天使はとつとつと答える。
「けれど、消えかけている貴女に遅れを取るほど弱くはないわ」
「神に見捨てられた天使がいいよるわ!」
不自由な翅と黒く細い脚で天使から離れようとしたその分裂体は、背後からの衝撃に正面からホールの壁へ叩きつけられる。
「……よくわからないが、こいつを倒すのに異論はない」
パワーズの向かいには右腕だけで長刀を振るうバーサーカーの姿があった。
「まったくじゃ」
たまらず床に落ちた蝿の女王には続いて駆け寄った猿田彦が軍配から放った雷が止めを刺す。黒い塵がもう片方の軍配からほとばしる雷に焼かれ、今度は完全に消滅する。
固まった所を見て、残った三体の蝿の女王が一気に壁以外の方向から見えざる刃を放とうとする。
「うぐぅ!?」
しかし、そのうちの二体は側面から吹き飛ばされた。当然一方向からのみとなった刃はいくつかの肉を抉りながらも致命傷とはなりえなかった。
刀から片手斧へと持ち替えた人間のロードが一気にその力を解放したから。
「に」
ぽつり、とルヴニールが呟いた。
To be continued...